東京五輪・パラリンピックのテスト大会を巡る談合事件。東京地検特捜部は本大会の巨額受注を視野に受注調整を行っていたと見て、実態解明を進めている。

「組織委員会が2018年に発注したテスト大会の計画立案業務は計26件。9社1団体が落札し、総額は約5億4000万円でした」(社会部記者)

 だが落札金額が最多だったのは、実は談合を主導したとされる電通ではない。

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「イベント会社のセレスポです。新国立競技場など計5件を総額約1億1600万円で落札した(電通は約8000万円)。同社にも11月25日、特捜部の家宅捜索が入っています」(同前)

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 1977年創業のセレスポ。社名の由来は「セレモニー&スポーツ」で、主にスポーツ大会や式典の運営を手掛けてきた。04年には現在の東証スタンダード市場に上場。近年は五輪事業が大きく貢献し、今年3月期の売上高は実に前年比6.1倍の約270億円だ。

「談合の疑いがある18年当時のトップは稲葉利彦会長。本人は『組織委から声をかけてもらった』と談合を否定していますが、特捜部も注視するキーマンの一人です」(同前)

「稲葉氏に逆らえるような社員はなかなかいません」

 慶応大卒業後、伊勢丹に入社した稲葉氏は天津伊勢丹社長などを経て、08年にセレスポ社長に就任。今年1月に会長に就くまで14年間、トップの座にあった。同社の第5位株主でもある。同社関係者が言う。

「天津伊勢丹の社長を務めていただけあって、中国クラブが大好きです。酔うと植木等の曲を歌い続けるのが常。無類の麻雀好きで、仕事関係者と自宅で雀卓を囲むこともあります。他方で現場への当たりはきつい。気に入らないと、伸び縮みする銀色のボールペンで部下を叩いたりする。それでも、長く社長を務めてきた稲葉氏に逆らえるような社員はなかなかいません」