――芸能界で新しいチャレンジをすることに、不安はありませんでしたか?
中山 もちろん不安はありました。けど、「大変そうだな」と想像して諦めてしまうと、これから出合うかもしれない楽しいこと、大好きなことを逃してしまう可能性がある。チャンスが目の前にあるのなら、逃して後から「あのとき、ああすればよかった」と後悔するより、挑戦してみて「これは自分には向いていなかったな」って納得してから諦めるほうがいいと思うんです。
やってみると想像以上に大変なことも多かったけど、約30年間芸能界にいて、チャレンジして後悔したことは一度もありません。楽しいことだけじゃなくて、大変なことも、苦しいことも、全部が私の引き出しになってくれましたね。
芸能界で新しくチャレンジしたいことは?
――今年、お子さんが小学校に入学され、これまでセーブしていたお仕事も少しずつ増やしていくかと思います。これから新しくチャレンジしたいことはありますか?
中山 これまで同様、いただいたお仕事に懸命に取り組むスタイルは変わりません。ただ、昔は目の前のことをこなすだけで精一杯だったけど、少しずつ時間を重ねていく中で見える範囲が広がってきたかなとは思います。
先ほどもお話ししたように、私がこのお仕事をこんなに長い間続けてこれたのは、共演者やスタッフさん、そして家族など、手を差し伸べてくれた周りの人たちのおかげ。今の私があるのは、私がものすごく努力したからというわけじゃなくて、いろいろな人たちがご縁をつないでくれたからなんです。それって、どんなに欲しくてもお金を出して手に入るものじゃない。
だから、今後もそのご縁に感謝したいし、大切にしたい。私に関わってくれた人たちに、「あいつと一緒に仕事してよかったな」「また一緒に何かしたいな」と思ってもらえるような働きをしていきたいです。そのためにも、相手の目を見て挨拶をするとか、困っている人がいたら手を差し伸べるとか、当たり前のことをひとつひとつ丁寧にやっていこうと思います。そして何より、元気でいることが大切ですね!
撮影=石川啓次/文藝春秋