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「『アイドル・慎吾ちゃん』だけじゃない。まばゆい“光”もドロリとした“闇”も……」香取慎吾が200点のアートに込めた≪強さ≫と≪自由さ≫

「『アイドル・慎吾ちゃん』だけじゃない。まばゆい“光”もドロリとした“闇”も……」香取慎吾が200点のアートに込めた≪強さ≫と≪自由さ≫

“新しい地図”香取慎吾、3年ぶりの個展を語る

2022/12/17
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 なるほどだれに頼まれずとも、手を動かし続けてきたとのこと。何かを表現せずにはいられない「業」のようなものを、内に抱え込んでいたりするのかもしれない。稀代のエンターテイナーとして多方面から引っ張りだこな理由が、ここに垣間見える。

 

死神のような姿が見える“闇”、ポップな絵柄が目を引く“光”

 今展の会場は、空間が大きくふたつに分かれた構成となっている。前半の「闇エリア」と、後半の「光エリア」。

 闇をテーマとしたエリアでは、会場全体が暗くなっており、黒に塗り込めた壁面に大小さまざまな絵画が、スポットライトを浴びて浮かび上がる。描かれるモチーフは多種多様なれど、死神のような姿が見られたり、心象風景をなぞったのかドロリとした形態だけが表面に残る抽象的な画面があったりと、ズシリと重みある表現が多い。

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 一転、光のエリアは、まばゆいばかりに明るいライティングが施され、ポップな絵柄の作品がところ狭しと配置される。両者のあまりに激しいギャップに驚かされてしまうのだが、この意図についても香取慎吾本人の言葉を聞こう。

 

「香取慎吾という人物は幅広く活動させていただいていて、その結果、本当にいろんな顔を持っているなと自分でも思います。そこには光の部分も闇の部分もある。『アイドル・慎吾ちゃん』としているときは、下を向いている姿なんて見せないわけですけど、絵を描くときはひとりなので、明るい面じゃないものを発散させることだって当然あるし、そういうときのほうが気に入った絵を描けたりもします。今回は思い切って、そういう闇の面が出た作品も含めて、すべてを観てもらおうと決めました」