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日刊ゲンダイ“衝撃の珍論”で考える、安倍首相「平昌五輪出席問題」

日刊ゲンダイ“衝撃の珍論”で考える、安倍首相「平昌五輪出席問題」

一般紙の論調を凌駕するウルトラC

2018/01/26
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 出席か、欠席か?

 安倍首相の韓国・平昌冬季開会式問題が注目されてきたが、今週水曜(24日)の1面で「読売」と「産経」が「出席へ」と報じた。

 とくに「産経」は1面トップで「首相、平昌五開会式に出席」とし、首相インタビューを掲載。

 政権側は「安倍スタジアムでの1塁側」の新聞をここでも巧みに利用した感がある。

 そもそもリオ五輪閉会式には「土管」を使ってまでブラジルに駆けつけたのに、安倍マリオ、いや安倍首相にとって隣国の韓国はなぜ日本の裏側より遠かったのか。

安倍首相、さてどうすればいい論で各紙にぎやか

 理由はこちら。ちょうど2週間前の記事。

《旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する日韓合意を巡り、韓国側が日本政府の新たな謝罪が必要などとする新方針を打ち出したことを踏まえ、首相が訪韓できる環境ではなくなりつつあるとの判断が背景にある。》(「安倍首相、平昌五輪開会式出席難しい」日刊スポーツ 1月12日)

©getty

 このあと、各紙の社説やコラムでも「開会式」問題は取り上げられはじめた。新聞によっても意見がわかれたお題だったのである。

「毎日新聞」の社説は、「平昌五輪開会式と首相 むしろ出席した方がいい」(1月12日)

 とキッパリ。

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毎日新聞「むしろ出席した方がいい」(右=12日社説)、産経新聞は「『スポーツ』を軽んじるな」(19日「主張」)

毎日は「出席にメリットあり」

 主張を抜粋してみる。

・日韓合意が「最終的かつ不可逆的な解決」をうたっている以上、日本政府が「更なる措置を求めることはまったく受け入れられない」との立場を取ることは理解できる。

・しかし、そうだとしても、「平和の祭典」に政治的な対立を持ち込むことには慎重であるべきだ。

・もし、首相が開会式に欠席すれば、隣国同士の日韓の冷え込みを内外に強く印象付けることになるだろう。日韓の離反が鮮明になれば北朝鮮を利するだけだ。

・むしろ、首相はホスト国に敬意を表し、開会式に出席することで、韓国に対する立場を強めることができるのではないか。
 

行くことに決めたけれど 首相官邸HPより

「毎日」は首相は冷静に対応(開会式出席)したほうがメリットがある、と言っているのだ。