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 これまで出演してきた作品では、そのポジティブなキャラクターを活かした演技や役どころが比較的求められていたように思えるが、私はむしろ今回の『silent』で引き出された、彼女の明るさを抑えた演技に可能性を感じる。

 実際のところ『silent』では、彼女の憂いを帯びた横顔とつぶらな瞳に見入る場面が何度もあった。セリフの量やBGM、効果音や背景などの余計な情報を極限まで削ぎ落としたこのドラマならではの演出によって、彼女のプリミティブなポテンシャルの高さが浮き彫りにされたのではないだろうか。

『silent』フジテレビ公式サイトより

代表作を得て高まる、さらなる飛躍への期待

 ここまで彼女の魅力について考察してみたが、あくまでも作品やメディアを通しての印象である。

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 もしかしたら、こちらが受けた印象とは異なり、彼女はネガティブな人であり、私たちが画面やスクリーンを通して見るポジティブな振る舞いはその反動や裏返し、という可能性もある。しかしながら、表現者として驚くべき速さで成長していることは間違いないだろう。

 いずれにせよ『silent』は確実に彼女の俳優人生において代表作となり、大きな転換点になる。そこからさらに飛躍するためには、もっと多くの経験を積み重ね、人間的にもうひと回り大きくなることが必要になってくる。

©文藝春秋

 だからと言って決して焦ることはない。じっくりと、静かに一歩一歩、新雪を踏みしめるように目の前に広がる道を歩み続けて欲しい。その先にはきっと暖かく優しい景色が広がっているはずだ。