1ページ目から読む
2/3ページ目

 菱沼は県警幹部の母親を持ち、授業中に鏡で自分の顔をチェックしたり、訓練生仲間である枝元佑奈(富田望生)を自分の引き立て役として利用したり、教官と訓練生という立場をわきまえず風間に好意を伝えたりするなど、自意識過剰でプライドの高いキャラクターだが、川口はそんな彼女を好演。

 さらに、風間の指導や佑奈との友情を通じ、一人の人間として精神的に成長する様をしっかりと演じ、印象に残る演技を見せてくれた。

川口春奈さん演じる菱沼羽津希 『教場』フジテレビ公式サイトより

 ちなみに『教場』では『silent』でも重要なモチーフとなっている手話を彼女がするシーンが登場し、続編である『教場Ⅱ』には『silent』で共演している目黒蓮が訓練生役で出演しており、不思議な“縁”を感じさせる。

ADVERTISEMENT

 また、今年、映画化もされた玉木宏主演の連続ドラマ『極主夫道』(2020年)では、一転してコメディエンヌとしての才能を発揮。

 玉木演じる主人公の元極道で専業主夫・黒田龍の妻・美久として、竹中直人や滝藤賢一らクセ者俳優たちに囲まれながらも、オーバーアクションで豊かな表情を見せ、玉木にラリアットやココナッツ・クラッシュ、さらには立ちアキレス腱固めといったマニアックなプロレス技をかけて悶絶させるなど、毎回のように見せ場が用意されていた。さらにパワーアップした映画版では、彼女が役としてでなく素で思わず笑ってしまい、顔を背けているように見えるシーンもあった。

映画『極主夫道・ザ・シネマ』公式サイトより

バラエティタレントも顔負けのYouTube

 このように、俳優として着実にキャリアを重ねつつある彼女だが、その源泉はどこにあるのか。

 その答えを見つけるべく、2020年1月に開設され、現在登録者数174万人の公式YouTubeチャンネル「はーちゃんねる」をチェックしてみた。

 

 ここで川口は、実家に帰省して母親と会う動画(752万回視聴)を皮切りに、メイクやヘアスタイルを紹介したりするオーソドックスなものから、HIKAKINやKREVA、横浜流星らとコラボしたり、かと思えば鯛やブリを丸ごと一匹さばいてみたり、いきなり1人で日帰り温泉に行ったり、挙げ句の果てには滝行に挑戦したりと、地上波バラエティ番組も顔負けの企画を難なくこなし、豊富なバイタリティとタレント性を惜しげもなく披露している。

 投稿動画は比較的視聴数が落ち着いた今でも数十万から百万回視聴をコンスタントに叩き出しており、彼女の人気ぶりと同時に、その屈託のない人柄の良さも十分伝わってくるものとなっている。きっと裏表のない、自分の気持ちに真っ直ぐな人なのだろう。