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 母には地元の青年会に入り、テニスの練習に行くように強く勧められました。クラブ・デイ(※3)でも学ぶようになりました。これがホームスクーリングとうまく組み合わさる形になりました。

 クラブ・デイでイギリス文学と数学の授業を受講しました。でも、クラブ・デイでいちばんすばらしかったのはシェークスピア・クラブです。これに参加したのが僕にとってはすごく大きかったです。だって、そこでは人と話さなければいけないですし、ましてやシェークスピアの芝居の役を演じてセリフを言わないといけないですから、話し方をものすごく練習することになりました。

 僕は役者として演じるのは下手だったけど、セリフを覚えるのはかなり得意でした。衣装を着れば、別人のふりもできるし。『夏の夜の夢(※4)』で妖精の森に向かう職人のひとりを演じるのが好きでした。このアテネの職人たちは公爵の結婚を祝って芝居を上演しようと森で稽古を積みますけど、うまくできない。僕はおかしなことをして、みんなの笑いを取りました。

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 みんなの前で演じたり話したりするほうが、みんなの中に入って話すより、ずっと楽です。舞台に立っていれば、社会的な交流は一切求められないから。みんな僕を見て、僕の話を聞いてるけど、舞台からその人たちとやりとりしなくてもいい。

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 でも、舞台を降りて人がたくさんいる中に入れられてしまうと、そうはいかない。みんなその中で動きまわっているし、みんなの身振りに注意してなくちゃいけない。特に僕は、みんなの言ってることが聞き取れないこともある。大勢の人の前で話すのであれば、一人ひとりの顔の表情はよく見えない。声や拍手やブーイングが確認できて、うんうんとうなずくような言い方が耳に飛び込んでくるだけ。ほかの人はそうじゃないかもしれないけど、僕は人前で話すほうが楽です。

 自分の考えを言葉にするのは大体うまくできるから、人の反応を読み取るとか、ほかにしなくてはいけないことをいくつかしなくてすむなら、人前で話すほうが楽。でも、みんなの前で話すのは少しもむずかしくないというわけじゃない。話すことは何もかも苦手です。

他者と会話する時、ジョリーが感じていること

リリック 気持ちよく会話できるということはある?

ジョリー 正直に言いますと、この段階なら気持ちよく会話できる、ということはないです。でも、訓練をたくさん積めば、脳をそれほど使わなくてよくなるということはありますね。ある人と知り合いになると、その人が前に言ったことや反応したことが頭のデータベースに保管されるので、それほど集中して言葉に置き換えなくてもすみます。

 たとえば母と話すのと、知らない人と話すのは、全然違います。その人と親しくなるほど、嫌な刺激は減らせるんじゃないかな。母と話している時は母が言うことを一語一語すべてイメージに置き換えなくても、ああ、これはあの時言ったことだなとわかるから、精神エネルギーをそれほど使わずにすみます。

 親しくなることで、皆さんの会話も変わるんじゃないでしょうか。会話をたくさん重ねれば、エネルギーをそれほど使わずにすむようになります。僕はネガティブな発言に打ちのめされることなく、いくつかポジティブなものに気づくことができるようになりました。避けたいと思うものが減って、大体いつでも大丈夫なものが増える。

 僕は、ああ、こうやって新しい情報が入ってくるんだ、こうやって新しい事実が確認できるんだと思いました。大学に進学してからですが、よく耳を澄まして、何も言わず、ただほかの人たちに話をしてもらえば、自分が取り込めるデータポイント(※5)をその人たちが与えてくれるとわかったのです。だから疲れるけど、聞いてみることは大切です。

 そうしたやり取りをすると、僕の精神エネルギーは消耗してしまうけど、寝ればまたエネルギーが充電されることもわかりました。翌朝までに完全に充電される再生可能エネルギーだから、好きなだけ使えます。

リリック 人と話すこと、会話することに抵抗がなくなったのはいつ?