しみけん だから僕が食事を作ってサポートするなりしていたら、違う未来が待っていたのかもしれません。解消はどちらかが切り出したというわけではなく、流れですかね。ただ僕を決心させた言葉があって、それが「一緒にいることが子どものためになると思っていたら、それは間違い。仲がいいところを子どもに見せるから一緒にいる意味がある」って。例えば僕が不機嫌な空気を出して、お互い険悪なムードになっている中で育つ子どもは不幸になってしまう。それに気づいたとき、一緒にいることは子どものためというよりも僕のエゴなんだって思って、じゃあもう難しいねって。
――確かに両親が背を向けている姿を見せるのは逆効果でしょうね。
しみけん そうですね。悪い空気を出していると場を支配できるんだ、という考えの子どもにはなって欲しくはないですからね。
家庭生活が円滑に続くAV男優のヒミツ
――以前、しみけんさんは著書に「AV男優で家庭生活が円滑につづいている家は例外なく子どもがいる」と書かれていましたが、決してそういうわけではないんですね。
しみけん はい。いつだか先輩たちに結婚して良かったことを訊いてみると、子どもの話ばっかりだったんですよ。子どもを抜きにした夫婦として一緒にいて良かったことは、と訊いても具体的な話は出てきませんでした。それを知ったとき結婚の縛りって一体何なんだろうなって。たぶん結婚して良かった、配偶者と一緒にいられて良かったっていうのは些細なことの連続だと思うし言語化するまでもなかったのかもしれない。例えば、家に帰ってくると電気が点いているような。
――日常の小さな幸せの連鎖。
しみけん そこに気がついて感謝ができ、さらに言語化できる人は生活をつづけていけるだろうし、だったら結婚(事実婚)する意味はあるかもしれませんね。感謝の気持ちを持ちたいなと思いつつも、正直切羽詰まってそれができなくなるときもあるんです。映画『プラダを着た悪魔』のなかに「家庭の崩壊時が出世時」という好きなセリフがあるんですけど、やっぱりなにかを得たらなにかを失うというのか、両方上手くいくことは、なかなかないのかなと思ったりもします。
――家庭と仕事どっちを選ぶといった二元論。
しみけん 僕はすごく真理だと感じているんですけど、ただ今の時代SNSが発達して働き方も多様化していますし、家庭や仕事に縛られない道というのもあるはずなんです。自分のやりたいことを上手く選択して生きられるのであれば「家庭の崩壊時が出世時」という言葉が出てこない世の中になるのかなって。まあ、そのためにも僕個人としては婚姻制度は考えもので、もっと事実婚やパートナーシップ制度などの選択肢が増えるべきだと思います。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。