日本の主要政党で党首公選が行われていないのは、共産党と公明党のみである。こうした状況のなか、共産党に「党首公選制」の導入を呼びかける党員がいる。
48年間にわたって共産党員として活動し、政策委員会で安保外交部長も務めたことのある松竹伸幸さん(67)だ。さらに、党首公選が実施されたあかつきには自ら立候補すると宣言している。
そんな松竹さんが、共産党の現状を批判し、党首公選をはじめとして「もっとオープンな議論を」と呼びかける新著『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)を1月19日に刊行し、同時に記者会見を行った。
一般人の会見にメディア12社が駆けつけた理由
書籍が上梓されたとはいえ、松竹さんは政治家などではなく一般人である。にもかかわらず刊行前から新聞などのメディアで取り上げられ、この日の会見には新聞、テレビ、ネットメディア計12社が取材に訪れた。さらに、会見は質疑応答を中心に約1時間半にも及んだ。ある政治部記者は駆け付けた理由をこう語る。
「『民主集中制』という名の上意下達システムを維持してきた共産党内で、一党員が執行部批判をするのは極めて異例。それだけでもニュースです。ただ最近、党内では、小池晃書記局長が田村智子政策委員長に対してパワハラをしたとして批判が巻き起こるなど、体制側に対して現場レベルで“No”を突き付け始めました。昨年100周年を迎えた共産党の潮目が変わるのではと感じさせる流れが生まれています。何より、在任期間が20年を超える志位和夫委員長が代わることがあれば歴史的ニュースです」
松竹さん自身は「私が志位さんに退陣を求めたことはこれまで一度もありません」と語るが、ではなぜ松竹さんはこのような主張をするのか。