商店街は問題を先送りしている
実はシャッター通り商店街の存続はこうした時限爆弾を抱えたままの「問題先送り商店街」なのである。そしてこの店舗付き住宅を相続する人たちは、真剣にその活用手段を考えていかなければ、老朽化する店舗の管理と、毎年やってくる固定資産税通知書に悩まされることになる。かといって地方都市の衰退は日々進行している。大都市の市街地にある店舗なら、まだ商店街の所有者たちが土地を提供しあって新しい市街地再開発組合などを設立して、タワーマンションを建設してもらうなどの活用方法が考えられるが、地方都市になると新たな活用方法にも限りがある。
店舗付き住宅で今後、頻発する相続は何もシャッター通りの店舗だけの問題ではない。二次相続の時点で課税されるかどうかではなく、これを相続せざるを得ない店主の子供、孫世代が、残された店舗の取り扱いに悩まされる時代が到来していることを意味しているのである。
自治体も協力してエリア全体での有効利用を
この問題の抜本的な解決策としては、自治体なども加わって、シャッター通り商店街をどのように再生していくかを真剣に考えることにあるだろう。例えば、再生するシャッター通り商店街に網掛けして、土地建物の権利を引き受ける再生ファンドを組成する。もう利用しなくなり、実際に住んでもいない所有者は、自身の持つ所有権をファンドに現物出資する。ファンドは細切れの所有権を中長期にわたって集め、ある程度まとまったところで、再開発を行うなど、エリア全体での有効利用を図っていかないと、やがては商店街ごとスラム街に変わってしまうことが危惧される。
日本人の得意な「問題先送り」はほかの分野でもそうなのだが、いつまでも先送りできるわけがないのだ。シャッター通り商店街の行く末は現代日本社会の縮図ともいえるものなのである。