“盗撮のカリスマ”ともあだ名された斎藤果林被告(50)が逮捕・起訴された事件。グループで共謀して露天風呂で女性の入浴姿を撮影するなど、常習的に卑劣な犯行に及び、1月24日に公安調査庁の職員、津田奨太容疑者(31)が逮捕されたことで、逮捕者は計13人にのぼった。

 捜査が進むにつれ、その卑劣な犯行手口も次々に明らかになっている。その過程では、知人女性を薬品で心神喪失状態にして撮影する「眠り姫」動画の存在も発覚した。

 盗撮グループはいかにしてここまで犯行を重ねてきたのか。当時の記事を再公開する(初出:2022年5月1日。肩書、年齢は当時のまま)。

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「自然って美しいなぁ…」

 北海道の空に虹がかかる風景写真をFacebookにアップし、「僕らほど日頃の行いがいい人おらへんもん(キッパリ)」と、人が好さそうに書き込む男。

 その正体は、全国の露天風呂を行脚する“盗撮のカリスマ”と呼ばれる男だ。

斎藤容疑者らが盗撮をしたとされる某県の温泉 ©️文藝春秋

 静岡県警は2021年12月、兵庫県内の露天風呂で共謀し入浴中の女性を盗撮したとして、兵庫県迷惑防止条例違反の疑いで、斎藤果林容疑者(49)とその盗撮仲間の男らを逮捕した。(全2回の1回目/続きを読む

「盗撮に邪魔な木を切るため」にノコギリ所持

 静岡県警の署員が、静岡県藤枝市内の駐車場にいた斎藤容疑者の盗撮仲間の男を職務質問したところ、刃渡り6センチ超のノコギリを所持しており、銃刀法違反で逮捕。その後、「盗撮に邪魔な木を切るため」と話し、取り調べをすすめたところ、全国規模の組織的盗撮の可能性が浮上。押収されたデータなどから撮り師が次々と逮捕される事態となり、捜査は思わぬ広がりをみせている。

斎藤容疑者(本人のSNSより)

 気づかぬうちに被害者となり、ネット上で自分の入浴動画が売買される。そんな寒気のする犯罪行為から、どう身を守れば良いのだろうか。

 取材班は斎藤容疑者と現場を共にした元グループの1人であるAと接触 した。

「私は服を着ている女性をこっそり撮るのが好きなんです。それも褒められた行為ではないとわかっています。でも決してスカートの中を撮りたいとは思いませんよ! でも同好の士として斎藤とは行動を共にすることがありました。彼らのやり口を知るにつれ、さすがに一線を超えていると思い、嫌気が差してきて……。

 斎藤は以前にも一度逮捕されたが止めなかったし、また盗撮を繰り返すだろうと思います。今後同じ被害を生み出さないため、罪滅ぼしとして斎藤の手口を知ってもらいたい」

 そう言ってAはその周到かつ卑劣な事件の全貌と、組織的盗撮の手口を明らかにしたのだ――。