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 でも、なぜそんな選手がここに!? なぜ草野球の試合に出ているのか!? 疑問に思ったのだが、私が声を掛けた先程のハービーズ福岡の監督さんは、なんと大津投手のお父さんだった。つまり、大学野球引退後、地元福岡に帰省している際に、父が監督を務めるチームに参加していたのだった。

 ものすごいタイミングだ。高校時代にも応援していた選手と、後々ホークスに入団することになる選手とグラウンドで会うことになるなんて、どんな世界線なんだ。もっと言うと、私はこの試合にショートスターターとして先発していた。1回を持たずにノックアウトされたので、大きな声では言えないが、「大津亮介と同じ試合で投げ合った」ことをいつか控えめに自慢したいと思った(笑)。

ハービーズ福岡の皆さんと試合後に撮った写真。大津投手は右から2番目。筆者は左から3番目 ©上杉あずさ

今のホークスにはいないタイプのピッチャー

 それから、大卒社会人選手のドラフト解禁となる2年が経った昨秋。既に「大津亮介」の名はしっかりとドラフト候補として雑誌や新聞で取り上げられていた。あのとき、「2年後楽しみにしてるね」「大津くんと対戦したこといつか自慢するからね」などと大津投手にエールを送った我がポークスのチームメイトもその時を楽しみにしていた。

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 ドラフト会議当日。歓喜の瞬間が訪れるのは早かった。地元・福岡ソフトバンクホークスから2位指名を受けたのだ。思わず声が出た。喜びとか驚きとか何と表現したらいいのか、飛び上がりたい気持ちだった。即戦力として、早い段階でどこからか呼ばれるのではないかと期待はしていたが、2位で! しかもホークス! 大興奮だった。

 年が明けて新人合同自主トレが始まった今年1月。私も例年のごとく取材に行った。そこで大津投手と念願の再会を果たせた。何だかすごく嬉しかった。大津投手のクールな印象は当時から変わらない。でも、取材していくと、クレバーで野心的で、秘めたる闘志がメラメラ燃えているのが分かった。「負けてられない」「結果で示したい」「開幕ローテは目標」などと“強気”も冷静に言葉にする。この世界で戦いを勝ち抜くためにはどうしていくべきなのかをしっかり考えながら、目の前のことに一生懸命取り組んでいた。

新人合同自主トレ中も静かに燃えていた大津投手 ©上杉あずさ

 大津投手はキャンプイン前、「常に平常心で制球力重視のピッチングをしたい。ホークスにはスピードが速いピッチャーはたくさんいると思うんですけど、自分はコントロールの部分で少しでも戦力になれたらいいなと思います」と話していた。今のホークスにはいないタイプのピッチャーだと感じる。大津投手の持ち味、個性を生かしてアピール出来れば、チームの新たなピースになれるのではないだろうか。勝負のキャンプが始まった。まずは目標の「開幕ローテ」を掴むために奮闘する姿を見守りたい。そして、「大津亮介と同じ試合で投げ合った」ことが伝説的な思い出になるくらい、プロの世界で大きく羽ばたくことを願っている。

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