2018年12月、当時1歳4カ月だった唯雅(ゆいが)ちゃんが、親である常慶雅則被告(27)と藍被告(27)に虐待され、肺感染症で死亡した事件。2月9日、福岡地裁は父の雅則被告に懲役16年の判決を言い渡した。

 唯雅ちゃんの体にはエアガンで撃たれたと見られる71カ所の弾の痕があり、両手両足や肋骨など23本、あわせて31カ所が折れていたという。なぜ、幼い命は奪われてしまったのか。事件を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」2019年11月21日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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 2018年12月当時、1歳4カ月だった三男をエアガンで数十発撃って怪我をさせた傷害容疑で、福岡県警は11月6日、田川市に住む両親を逮捕した。三男は昨年12月1日に肺感染症で亡くなっている。父親の常慶雅則容疑者と母親の藍容疑者について、福岡県警が当初「殺人」の疑いを持っていたことを示す捜査資料を「週刊文春」は独自に入手した。

現場となった田川市内の県営団地 ©文藝春秋
常慶雅則容疑者(フェイスブックより)

 複数の捜査資料のうちの一つが、昨年12月1日付で法医学医が記した「死体検案書」だ。そこには直接死因は「低栄養」が原因の「肺感染症」と書かれているが、「死因の種類」の欄の「他殺」の項目に印がつけられている。

 さらに、昨年12月7日および10日に警察官が交付した「押収品目録交付書」にも、「被疑者不詳の殺人被疑事件」と明記されていた。