ビッグクラブへの移籍がまだ早いと思う理由
――今、三笘選手は、その活躍からビッグクラブに移籍するのではないかという噂も出ています。
城 今、ブライトンではプレーと結果でチームメイトの信頼が増しているし、彼にボールを預ける時間がすごく増えたと思うんです。すごくいい流れの中でプレーが出来ていると思うし、そうして自己の評価を高めてビッグクラブにいくことはすごいことだと思います。
でも、個人的には、まだ早いかなと思いますね。あと、1、2年はブライトンや中堅クラブでプレーしたほうがいい。今、活躍して注目を浴びているけど、そのうち分析されて、うまくいかなくなる時が必ず出てくると思うんです。自分の対策を取られた時、何ができるのか、それを乗り越えていくというのは成長には不可欠なこと。そこにチャレンジして、結果を出してからでも遅くはないと思います。
――今、ビッグクラブにいくのは時期尚早という考えですか。
城 ビッグクラブにいって活躍するのって簡単じゃないんですよ。香川真司もドルトムントであれだけ活躍したけど、マンチェスターユナイテッドではうまくいかなかった。世界のトップクラブで活躍できる選手はほんの一握り。そのためには、たくさんの壁を越えて、タフな選手になってからじゃないと世界最高峰のクラブで存在感を示して行くのは難しい。
そこで失敗しても次があるからという考えもあるけど、試合に出られなくなるとコンディションも評価も落とすことになります。そこから這い上がるのも簡単じゃないんです。個人的には香川よりは可能性があると思うけど、今は成長している最中。これからもっと伸びて行くと思うから、試合にコンスタントに出られる今の環境でプレーして、もっと自分を磨いてほしいと思います。
「世界のミトマ」になれる可能性
――三笘選手に対する報道やニュースは過熱するばかりですね。
城 ちょっと持ち上げ過ぎかなぁと思います。ニュースもゴールシーンとか、いいところばかり流すから、すべてがすごく見えるけど、90分を通してみるとまだミスが多いし、消えている時間もある。攻撃でうまくいかない時も多いんですよ。
でも、今、日本のサッカー界にはスター選手がいないですからね。三笘がそういう存在になっていく流れは日本サッカー界にとっては有難いことだと思うんですけど、彼は冷静な選手。世間の注目をうまく拾いながら世界に食い込んでいく選手になってほしいですね。
――三笘選手は、「世界のミトマ」になれるでしょうか。
城 可能性は、十分にあると思います。でも、まずは残りのシーズン、どれだけできるのかっていうのを見てみたいですね。三笘対策を取られた中で、どう壁を越えてくるのか。相手に分析させるだけの力を見せているんですから、その先に進んでほしいです。それを越えて行けばビッグクラブも見えてくると思います。そこで活躍する姿を見てみたい。たぶん、本人が一番やりたいと思っているでしょうけどね。
取材・文=佐藤俊