カタールW杯以降、所属チームのブライトンで大活躍をしている日本代表MFの三笘薫(25)。その活躍は世界中から注目を集めており、ビッグクラブ入りも噂されるほどだ。元日本代表FWで、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、三笘の活躍をどう見ているのだろうか。そして、城氏が今後の三笘に期待することとは――。

三笘薫 ©AFP=時事通信社

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敗れた悔しさを経験し、何かを掴んだ

――カタールW杯以降、三笘薫選手はプレミアリーグのブライトンに戻り、世界を驚かすプレーを見せています。ここまで活躍出来ている要因は何なのでしょうか。

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城彰二さん(以下、城) カタールW杯での経験が大きかったんだと思います。世界の舞台で、自分の武器であるドリブルや自分のプレーが通用するのを肌で感じたところがあったんでしょうね。やっぱり選手が世界レベルを肌で感じることはすごく重要。

 世界で戦うと、自分はいま世界のどのくらいの位置にいるのか、世界と対峙してこれは通用したな、これはまだできていないなとか、それが明確になっていくんです。そして、自信を得ただけでなく、敗れた悔しさも経験したことで何かを掴んだんじゃないかなと思いますね。それが今の三笘の活躍に繋がっていると思います。

――W杯の決勝トーナメント1回戦でクロアチアに負けた後、三笘選手は号泣していました。そういう悔しさが、リーグ戦を戦う上での大きなモチベーションになるんでしょうか。

 なると思いますね。自分も98年フランスW杯で3連敗して悔しい思いを抱えて帰ってきたんです。その時、リーグ戦で見てろよっていう思いが強くあって、そのシーズン、25得点でキャリアハイの成績を残すことができました。

 W杯で世界の強豪選手とマッチアップしてプレーした感覚が体に残っていて、国内に戻って来た時、当たりにしてもスピードにしてもたいしたことないなって思ったんです。プレミアリーグはW杯レベルの厳しさがあると思うけど、クロアチアに敗れて泣いた悔しさをぶつけてプレーしているのはあると思います。

クロアチアに敗れて涙を流した ©JMPA
 

――先日のリバプール戦のダブルタッチのゴールは、素晴らしかったです。

 ゴール前ですごく冷静でしたね。1発目のタッチでシュートを打っていたらディフェンダーに当たっていたと思うんです。でも、相手が来るのを想定し、右足、右足でコントロールしてシュートしたんですけど、案の定ディフェンダーが飛び込んできて、うまくかわしましたよね。

 シュートを打つときも、普通は空中でダブルタッチすると上半身が崩れてボールが浮いたり、ミスったりするんですけど、彼は重心がしっかりしているので、体全体がブレずに内側にボールを浮かしながらアウトサイドで決めた。これは、なかなかできるプレーではない。