カタールW杯直前に行われた唯一の親善試合、日本対カナダ戦(11月17日、ドバイ)は1-2で日本代表が敗戦を喫した。元日本代表FWで、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、この試合をどう見たのか——。

森保一監督 ©JMPA

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カナダ戦で露呈した日本代表の“最大の問題点”

――初戦のドイツ戦を迎える前に行われたカナダ戦は、1-2での敗戦。この試合でひとつポイントになったのは、セットプレーでした。セットプレーの重要性はどういうところにありますか。

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城彰二(以下、城) 今のサッカーは、狭いエリアで質が高い、厳しい組織的な守備をするので、そこを打開して点を取るというのが、なかなか難しいんです。特にW杯のような大きな大会になると、拮抗した試合が増え、なかなか点が取れない。

 でも、セットプレーは先にアクションが起こせるのが大きな特徴で、好きなようにボールを蹴れるし、味方の選手に合わせたり、トリックプレーで変化をつけて攻撃できるので効率よく点が取れる。そうしてゲームを決められる可能性が高く、しかも相手に与えるダメージも大きい。過去のW杯もセットプレーによる得点率が高いので、今回もセットプレーは非常に重要なポイントになります。

――日本代表は、セットプレーから得点ができていません。どこに問題があると思いますか。

 いちばん大きいのは、フリーキック、コーナーキックともにキッカーがいないこと。過去の代表には、ヤット(遠藤保仁)とか、蹴れる選手がいたんですよね。今の代表は鎌田(大地)、久保(建英)、伊東(純也)、堂安(律)がキッカーとしてボールを蹴っているけど、正直なところ精度がもうひとつだし、いろんな球種を蹴り分けられる感じではない。そこが一番悩ましいというか、最大の問題点だと思います。

久保建英もキッカーのひとり ©JMPA

――絶対的なキッカー不在の中、セットプレーをデザインするなど工夫が必要になりますね。

 基本的に、フリーキックを始め、コーナーキックもパターンが見えない。セットプレーを分析しているメンバーがチームにいるけど、何をしているのかさっぱり見えてこない。

 例えば、ニアに合わせると見せかけてスルーして、うしろにいる選手に合わせたり、ショートコーナーで変化をつけたりとか、そういう工夫が見られない。特に狙いもなく、ただボールを蹴って、そこで合わせられればって感じになってしまっている。それでは、点は入らない。

 ドイツは、高さがあるし、パワーもあるので、簡単には合わせられない。もしかすると森保一監督は、本番まで隠している可能性があるけど、本当に何もなければダメ。

――セットプレーで得点の匂いを感じさせる選手はいますか。