カタールW杯で見事グループステージを突破したサッカー日本代表は、決勝トーナメント1回戦で前回大会準優勝のクロアチアと対戦。激闘を演じたもののPK戦の末に敗れ、目標としていたベスト8には惜しくも届かなかった。
元日本代表FWで、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、クロアチア戦の敗戦をどのように分析するのか。そして、カタールW杯で見えた日本代表に“足りなかったもの”とは――。
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疲れていたクロアチアに対して、積極的な采配をするべきだった
――クロアチア戦は、PK戦の末に敗れ、日本はベスト16で今大会を終えました。
城彰二(以下、城) 残念過ぎますね。あのクロアチアに勝てないのであれば、もう勝てないですよ。
――「あのクロアチアに勝てないのであれば」というのは、森保一監督の采配に問題があったということでしょうか。
城 クロアチアは、グループリーグからほとんどメンバーを交代せずに戦っていたので、相当疲れていて動きが鈍かった。モドリッチも動けないので、中盤でゲームを作れず、DFラインに下がってボールを受けるなど、強いクロアチアというよりも最弱のクロアチアだった。
その相手に対して先制して、後半もう1点取りに行くのかなと思ったら同点ゴールを許してしまった。それなのにしばらくは何の動きもなく、後半19分に浅野(拓磨)と三笘(薫)を入れた。でもそれって、ただスタメンの選手が疲れたから交代したという感じで、戦術的な変化は何も生まれていないんですよ。
相手が動けていないのは前半から分かっていたはずだから、90分で決めにいくぞっていう積極的な采配をしてほしかったですね。
――どの選手と交代し、どのように戦術面での変化を求めるべきだったのでしょうか。
城 前半から長友(佑都)がサイドで何度もボールをもらっていい形を作っていたけど、彼は仕掛けるタイプじゃない。だったら後半開始から三笘を入れて、左サイドの攻撃を活性化させればよかった。相手のウィークポイントを突くのが定石なのに、それをしないし、三笘を入れてからも彼を活かすことをしませんでした。
三笘にもっとボールを集めるとか、突破させるためにスペースを空けようとか、サポートするとかいう動きも一切なかった。三笘をもっと活かせば、2点目が取れたかもしれないし、彼のドリブルで相手のディフェンスラインを下げさせていれば、後半の失点も生まれなかったと思います。三笘のような選手を入れてもそれをチームとして活かすことができないのは、チームに攻撃のコンセプトがないという証拠ですよ。
――いわゆる連動した動きがなく、みんなバラバラで動いていたということですか。