城 そうです。ドイツ、スペインのように相手が強くて、受け身で対応してカウンターを狙うのはできる。でもコスタリカ戦やクロアチア戦のように、ある程度自分たちでボールを保持して主導権を握った時には、攻撃で何もアクションを起こせない。
個の力だけでなんとか崩そうとしているのに、三笘の例のように個を活かそうとしていない。コンビネーションで打開するプレーもまったくない。あれじゃあ、いくら疲れているクロアチアでも崩せるわけがないと思って見ていました。
リアクションサッカーでは日本サッカーの将来につながらない
――クロアチアは120分凌ぎ切ったことが、PK戦での勝利につながった。
城 そう感じます。PK戦に入った時、日本は準備していなかったから、その場で順番を決めていた。正直、もう負けたような雰囲気でした。
逆にクロアチアは延長に入った時、PK戦まで見据えて、リスクを負わずに戦っていた。かなり疲労困憊だったと思うけど、PKにいけば勝てるという雰囲気でした。それが現実になってしまいました。
――今回、世界を驚かせたドイツ戦、スペイン戦の勝利は、どう捉えたらいいのでしょうか。
城 結果としては、すごいこと。交代選手やシステムを変化させて、後半に試合をひっくり返して勝ったことは評価できると思います。選手も強豪相手に守れたこと、何とか耐えて勝てたことに自信を持つことができたはずです。
でも別の視点から見ると、そういうやり方がたまたまその2試合にハマっただけとも言えるし、それが次の日本サッカーに繋がるとは思いません。
もともと日本はリアクションサッカーができるんですよ。相手がアクションを起こしてきた中で、どう対応するのかは分析も含めて出来るし、南アフリカW杯での戦いでそれは証明されているわけです。でも、コスタリカやクロアチアには、そういうサッカーだと勝てない。
――これからの日本代表に必要なのは、リアクションではなく、能動的に動くアクションサッカーですか。
城 ブラジル、フランスなどベスト8に残っているチームは、どこもアクションサッカーで連動した攻撃が持ち味で、いろいろな崩しができるんです。
一方で日本は、それができなかった。でも、それをできないで終わらせてしまうのは非常にもったいない。だって、今の日本代表は海外でプレーしている選手がほとんどなんですよ。
――選手がある程度揃っているけど、できないのは何が原因なのでしょうか。