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老朽化マンション相続の末路 “郊外は特に要注意”の理由

2023/03/07

マンション住民の高齢化問題

 背景にあるのがマンション住民の高齢化問題である。国土交通省「平成30年度マンション総合調査」によれば、マンション世帯主のおよそ半分(49.2%)が60歳代以上である。70歳代以上に絞ってもその割合は2割を超える。マンションは今や高齢者の資産なのである。したがってこれから多発する相続資産の対象がマンションとなることが容易に予想できる。

 しかも高齢者ほど老朽化したマンションを所有している割合が多くなることから、相続する不動産で老朽化したマンションを相続人はどのように扱えばよいかという問題に直面することになる。

 旧耐震設計の老朽化マンションでも、都心の一等地にあるようなマンションの場合は相続の際にそれほど問題となることはない。容積率(敷地面積に対して建設できる建物面積の割合)に余裕がある物件ならば、建て替えて実現できる余剰分の床を新たに分譲することで建設費を賄うことができる。民間初の分譲マンションである四谷コーポラスが建て替えできたのも、都心部にあって容積率に余裕があり、余剰床を高値で分譲できたからといわれる。同潤会青山アパートは表参道ヒルズという商業施設に生まれ変わったが、青山という立地がなせる業ともいえる。

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管理費滞納や孤独死の増加

 しかし、そうしたヴィンテージマンションは別として老朽化したマンションを相続して待ち受けるのが建物管理に伴う問題だ。今、築年数が経過した老朽化マンションで問題となっているのが、管理費、修繕積立金の滞納問題である。住民の高齢化に伴い、経済的に苦しくなり滞納する、認知症を患い支払いが滞るようになる、などといった事象が頻発しているのだ。

写真はイメージ ©AFLO

 またマンション内での高齢者の孤独死が珍しくなくなり、不動産業界でも孤独死が発生した物件では、従来は事故扱いとして新たに当該物件を売却する際には買い手に対しての重要事項説明項目にしていたものを削除するほど一般的な事象になっている。

 さらに住民の高齢化は管理組合の機能を著しく低下させ、組合実務をサポートする立場にあるマンション管理会社が管理業務を辞退するなどの事例も増えている。