球界屈指のクイックスロー、野村克也に鍛えられた狡猾なリード、そして、シーズン盗塁阻止率.644を記録するほどの強肩……。日本プロ野球の歴史に名を残す名捕手として知られる古田敦也氏。18年間におよぶ現役生活の中で数多くの投手の球を受けてきた同氏が明かす歴代最高のピッチャーとは。

 ここでは、くりいむしちゅーの上田晋也氏と古田敦也氏の対談をまとめた『Q上田 A古田 プロ野球で活躍する逸材とは?』(ポプラ社)の一部を抜粋し、古田氏の考えを紹介する。(第2回の2回目/前編を読む)

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大谷翔平はプロ野球の新人類

上田 大谷(翔平)選手について伺います。なんなんでしょうね、あの人のすごさは?

古田 人類の歴史というのは、ダーウィンの進化論と一緒で、突然変異でどこかで変わってきたという歴史を繰り返しています。たとえばキリンの場合、たまたま首の長い種が生まれて、上にあるものを食べることができたり、遠くにいる敵を見ることができるようになったから、首の長いキリンだけが生き残りました。ちょっとずつ首が伸びたのではなく、急に長いキリンが生まれて、それが当時でいうと突然変異だったのですが、結局はそのほうが、特性が強かったから生き残ったというのが定説です。今、僕たちはたまたま偶然、大谷という新しい種に出くわしたんじゃないかなと思っています。

「プロ野球史」として考えると、たとえば1万年ぐらい先から見たら、大谷のいる今の時代で変わったよなっていうくらい、能力が高いです。今まででも、すごい選手はいっぱいいましたが、それとは一線を画す、明らかに違う人、新人類と言っていいのか、ニュータイプと言っていいのか、突然変異なのかはわかりませんが、明らかに能力が高い人が出てきたと思います。

プロ野球選手はいつかはケガする

上田 古田さんからご覧なってもそう思われますか?

古田 はい。やはり飛び抜けています。もちろん、彼より背の高い日本人はいますが、あれだけ動けたり、いろんなことができたりする日本人は、少ないです。

 大谷君の場合は、日本人がちょっとずつ進化したというより、突然変異でボコッて生まれたような気がします。