1ページ目から読む
4/4ページ目

上田 松井さん自身もね、大谷選手がメジャーに行ったとき、「初めて日本人のパワーヒッターがメジャーリーグに行った」って自分でおっしゃっているぐらいですもんね。自分はメジャーに行けばパワーヒッターじゃないみたいな。

古田 とはいえ、ヤンキースの4番を打ちましたからね。もちろん松井君とは、僕もよく戦っていたからものすごい打者であることはわかっているのですが、大谷君がバックスクリーンの左に、ガチャガチャ放り込んだり、バックスクリーンの上まで飛ばすというのは、メジャーリーガーでもあまりいません。

 2021年はホームランを46本、2022年は34本も打っていますし、そう考えると、松井君より上でいいのではないかと思っています。

ADVERTISEMENT

©文藝春秋

ものすごい鉄砲肩でもバッターを抑えられるかは別の話

上田 大谷選手のパワーのすごさは当然なんでしょうけど、バッティング技術もすごいですか。

古田 ホームランを打つには、パワーと技術の両方が必要です。もしかしたら大谷君も、ヒットだけなら3割打てますよと言うかもしれません。明らかにちょっと強引に打っているときがあり、たまにセンター前とかにポンとヒットを打ったりもしますが、それではあまり喜ばれません。だから強引にライト方向に打とうとします。そういう意味でいうと、大谷君の腹の中では“3割ぐらいならヒットでよければ打てますけど、僕はホームランを打たなきゃいけないんで”という感じでやっていて今の成績なので、“すごい”の一言です。

上田 ということは、細かい技術もあるわけですよね。今、メジャーの他チームでも、二刀流としてやらせてみようっていう動きもありますが、大谷選手レベルの二刀流は、今後なかなか出てこないんでしょうか。

古田 なかなか出ないと思いますが、子どもの頃から能力が高い子は、ピッチングもバッティングも両方の能力が高いので、そのうち二刀流は出てくるはずです。今のメジャーリーグでも、何人か二刀流の候補がいるそうですから、当然出てくると思いますし、いいモノを持っている人はけっこういます。外野手でも、ものすごい鉄砲肩で150キロを投げられる人もいます。しかし、だからといってバッターを抑えられるかは別の話です。ストレートの速さ以外にも、変化球もありますから、なかなかカンタンにはいかないでしょう。大谷君のレベルまで精度の高い人が出てくるかといったら、難しいと言わざるを得ません。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。