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険悪な関係の2人も祝いの席なら穏便に話ができるだろうと…

 2013年3月、警察庁はチャイニーズドラゴンを「準暴力団」組織に認定した。これは、「暴力団のような明確な組織性はないが、集団または常習的に暴力的不法行為等を行っている」と定義し、取り締まりの強化を目的としてつくられた名称だ。しかし、あくまで警察内部での位置づけであるため、法的根拠はなく、暴力団対策法の対象にはならない。

 今回の事件を受け、1992年に施行された暴力団対策法によって集会すら禁じられている指定暴力団とは異なり、チャイニーズドラゴンは実質野放しではないかとの批判が上がっている。ただ、前出の人物によると、チャイニーズドラゴンのメンバーで暴力団にも所属している人間は少なくないのだという。

「ドラゴンの中華人脈は、ヤクザをやる上でも役に立ちますからね。暴力団に属しておいて、シノギで必要な時にドラゴン人脈を使うというパターンは結構あるんです。今回の池袋のパーティーの主役だった出所してきた人物にしても、北区を中心とする暴走族・怒羅権の亜流「華魂(ドラゴン)」から派生した組織のメンバーで、同時に指定暴力団の現役のヤクザでもあるそうです。一方で、彼に殴りかかった人物は、上野を中心に活動するドラゴンのメンバーであり、六代目山口組の傘下組織の現役ヤクザとされます。

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 2人は以前から険悪な関係にあり、それを見かねた現役ドラゴンの代表とされる人物が、祝いの席なら穏便に話ができるだろうと、仲を取り持つつもりで引き合わせたそうですが、残念ながらこういう騒ぎが起きてしまった……。さらに、ドラゴン人脈の中で起きた喧嘩沙汰ではあるものの、ヤクザ同士のトラブルともとれるような状況になってしまったわけです。とはいえ、双方ともこれ以上騒ぎを大きくするつもりはなく、どうやって事態を収拾させるかが話し合われている最中だと聞いています」(同前)

写真はイメージです ©iStock.com

「チャイニーズドラゴンが組織として拡大することはまずない」

 思わぬトラブルがきっかけで注目されることとなったチャイニーズドラゴン。暴力団の弱体化が取り沙汰される中、暴対法の網を潜り抜けることができるチャイニーズドラゴンが勢力を伸ばしていくのではないかと見る向きもあるようだが、実際はどうなのか?

「確かに、暴対法の締め付けがきつくなる中で、ヤクザと兼業せずにドラゴンのみでシノギをした方が身軽だと感じるメンバーは増えているようです。ただ、こうしたチャイニーズドラゴンのメンバー、あるいはドラゴンを名乗る外国人たちがシノギ単位で協力し合って稼ぐことはあったとしても、それによってチャイニーズドラゴンが組織として拡大することはまずない。さっきも言ったようにドラゴンには上納金システムがなく、どこで誰が稼ごうと組織が潤うわけではないからです。ヤクザと抗争するメリットもありませんし、彼らが集まって大きな暴力事件に発展する可能性も低いと言えます」(同前)

 とはいえ、組織でないからこそ、自由に裏社会で暗躍する準暴力団のメンバーたちがいることも事実だ。彼らを縛る「法」はどこにあるのか。