――結果、番組開始から2年で日経テレ東大学の登録者数は100万人を突破したわけですが、この数字の影響力を、例えばテレビの世界の広告単価などで「換算」すると、どれくらいのレベルになるんでしょうか。
そうですねえ……難しいですけど自分の感覚値でいえば、例えばテレビ東京で週に1回、23時とか24時台の深夜の1時間枠を持っているのと同じくらいのメディアパワーじゃないでしょうか。
コンテンツの削除は殺人と同じ
――単刀直入にお訊きします。たった2年でそれほどのメディアパワーを持つに至った「日経テレ東大学」を終了させる理由を、どういう風に説明されたんでしょうか?
うーん、公式には「プロジェクトの共同事業契約が2023年3月末に満了となり、今後、事業としては継続しない」ということですね。
――儲かってなかったんですか?
私的には儲かっているように感じていたんですが、どれくらいの黒字を目指すかというのは、そこは経営判断であるとは思うんですよね。
――経営側から事業として継続しない理由の説明はあったんですか。
一応、説明はあったんです。事業の過程の話なので、その内容を社外で喋るというのは難しいんですが……ただ長期のスパンで見たときに、日経新聞もテレビ東京も企業として、事業を続けていく経済合理性がないと判断したということなんだろうな、と個人的には推測はしています。
――「週刊文春」によると「日経」の名前がついた番組に、レピュテーションリスクのあるひろゆきさんや、日経をお辞めになった元エース記者の後藤達也さんを起用したことが、日経内で問題視されたとありますが、そのあたりはどうなんですか。
どうなんだろう……ただ私が言えるのは「誰かが問題だからおろせ」くらいで会社を辞める人間ではないですよ(笑)。会社にしがみつくの大好きですから(笑)。
――では番組終了の通達は、どのような場面でなされたんですか。
去年の年末ごろだったと思いますが、制作チームのある程度のポジションの人間が部屋に集められて、しかるべきラインの人から「終了する」旨が伝えられました。その直前ぐらいに「どうも終わるらしい」という話が少し漏れてきてはいましたが、ほぼ突然に近い感じでした。
――「しかるべきライン」とは?
事業チームで僕のライン上にいる比較的主要な人が伝えてきた、ということです。
――終了を伝えられたときの現場の雰囲気はどんな感じだったんですか。
そりゃもう本当に、悔しかったと思います。聞かされたスタッフはみんな『はぁ~?』という反応でした。僕も思わず「これは“人殺し”とおんなじだわ」と口走りましたし……。
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高橋弘樹氏のロングインタビュー「私がテレビ東京を辞めた本当の理由」の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
私がテレビ東京を辞めた本当の理由