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「小園は必ずこういう日に打ってたぞ」
今季は開幕から試行錯誤が続いている。開幕戦で1番打者に抜てきされながら無安打に終わると、翌日から8番に降格。初安打が出ないまま、開幕5戦目で先発を外された。それでもベンチで率先して声を出しながら、ばん回の機会をじっと待つ姿は成長と言っていい。
報徳学園にはプロ注目の後輩がいる。主将の堀柊那(3年)は、世代屈指の強肩捕手として注目度が高く、今年初の対外試合にはNPB11球団のスカウトが視察に訪れた。その練習試合の前日、大角監督は堀にいたずらっぽく耳打ちした。「小園は必ずこういう日に打ってたぞ」。堀はその試合で適時打を放ったものの、アピールしようと思うと体に力が入り、スカウト陣に本来の躍動感を見せられずに終わった。小園に高校時代から備わっていた勝負強さもまた才能の一つなのだろう。
長いシーズン、その勝負強さが求められる機会は何度も訪れるに違いない。オフ期間にどれだけ集中力高く練習に励んだとしても、その努力が必ず報われるとは限らない厳しい世界だ。荒波にもまれて逞しくなってきた心は、上手くいかないときにこそ役に立つ。
河合洋介(スポーツニッポン)
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