著者はメディアにも度々登場する犯罪心理学者。
犯罪心理学は人が罪を犯した原因を探るためのもの、というイメージがないだろうか。だが本当の目的は犯罪者個々の更生プログラム作りにあり、心理分析はそのために行われるという。
本書では、少年鑑別所や刑務所等で1万人超の犯罪者・非行少年の心理分析を行ってきた著者がその知見を生かし、親のどのような言葉が子どもを苦しめ、ひいては犯罪に至らせるのか、逆にどのような親の言動が子どもを伸ばすのかをまとめた。《子どもを呪う言葉》としてあげられているのは、「頑張りなさい」「気をつけて!」など。どれも一見普通に思える言葉ばかりでヒヤッとさせられる。
「各章の冒頭には著者が見た犯罪や非行の事例を載せています。センシティブな例もあり、社内では表現を和らげるべきという意見もありましたが敢えてそのままにしました。親の言動の重要性を、実感をもって読んでもらえると思います」(担当編集者の北堅太さん)
世の親や子どもたちに寄り添い、同じ目線で語りかける誠実な言葉は、意外な読者にも届いた。
「服役中の方や、元非行少年からも感想がありました。その多くは、『まさに自分の家庭に当てはまる』『自分の思いを代弁してくれた著者にありがとうと言いたい』というもの。嬉しい反響です」(北さん)