昨年末、37年続いた「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉店した三國清三。国際的に活躍する彼が、北海道の寒村で育った幼少期、厳しい修行時代、ミシュランとの確執等を語った自伝が、各種メディアにも取り上げられ、ヒット中。
「ご自身の店を閉じるにあたり、40年の付き合いになる弊社社長の見城に自ら直談判されたことが出版のきっかけです。タイトルを超一流にしかつけられない“三流シェフ”に決め、企画がスタートしました」(担当編集者の三宅花奈さん)
厨房で鍋を磨き続けたホテル時代、フルコースなど作ったこともないのに駐スイス日本大使館の料理人に20歳で大抜擢され、知恵と工夫で乗り切った日々、夏の暑い日にバターをたっぷり使うフランス人を見て、自分は日本人だと思い知らされたエピソード……。臨場感のある筆致に、一気に読了したとの声も多い。
「ノンフィクションライターの石川拓治さんに構成を依頼し、三國さんにはそのときの感情をありありと思い出していただけるよう、故郷の増毛(ましけ)をはじめ、関連する場所で取材しました。あまりにもドラマティックなので、各章の終わりに当時の写真等を掲載し、リアルに感じてもらえるよう工夫。がむしゃらに生きる三國さんの姿に活を入れてもらった、といった感想をいただき幅広い年齢層の読者を得ています」(三宅さん)