腕利きの経済ジャーナリストである著者が、なぜ「歩く」をテーマに本を書いたのか。きっかけは一足の靴との出会い。歩くことの魅力に目覚めた著者は、そこから〈文明やテクノロジーの進化は、果たして僕たちを幸せにしたのだろうか――?〉と思考を展開させる。
スティーブ・ジョブズを始めとするテック・エリートには、徒歩移動の必要などないのに歩くことを好む人が少なくない。またルソー、ベートーヴェン、ニーチェなどの偉人にも、散歩を愛した人物は数多い。それは歩くことが健康維持に役立つだけではなく、充実した知的営為を生み出す土壌となり、人生に大きな喜びをもたらしうるものだからだ。とりわけ現代においては、歩くことが一種の経済活動に繋がっているとも言えよう。ゆえに本書は広義のビジネス書なのである。
実体験を活かしたナラティブ・ノンフィクションでありながら、取材や論文に基づいた知見を紹介。客観的で具体的な情報が盛りだくさんだ。
「『歩く』動機を作る自己啓発のためにも読まれていますが、一方で既に歩く習慣のある人にも届いている印象です。そうした方々がNewsPicksのアプリ内などで毎日の歩数を共有したりして、緩やかなコミュニティを形成するきっかけになれたのもヒットの一因だと感じています」(担当編集者の的場優季さん)



