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『2016年 世界の真実』 (長谷川慶太郎 著)

2016/02/17
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〈これは単なる予測ではない、すでに見えている現実だ!〉とタイトルの下にある。担当の松本道明・出版局書籍編集長は著者とは長い付き合い。

「1985年、ソビエト崩壊前に作った本の中で、長谷川さんは(1)世界大戦のない時代、(2)自由化、(3)民主化を次に来る世界のキーワードに挙げています。いま思えば、“デフレの時代”の予見ですね」(松本さん)

『世界の真実』シリーズはこれで3冊目。毎年夏~秋に刊行される定番もので、各冊とも5万部台の発行と固定ファンが付いている。

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「今回は一番、出足好調です。やはりみな世界の動きに敏感になっているのと、中国や新興国の動向が個人の生活や仕事に直結する時代を私たちは生きている。本としては、出張の電車の中で2時間で読める手軽さを心がけていますが、高学歴の女性たちが読者に増えているのを感じます」

 経済評論家としては大ベテランの長谷川氏だが、時代が変わっても根強い人気を誇るのはなぜだろう?

「長谷川さんはあの石油ショックの最中に、『決して浮き足立つな。日本は高い技術力で必ずリカバーできる』と言った人なんです。阪大工学部の出身なので、技術がわかるのが強み。現場を丹念に見て歩き、実体経済に即して世界を読み解く。そこが“もの作りへの情熱”と“技術力”で生きてきた日本人の琴線に触れるのだろうと思います」

2016年 世界の真実 (WAC BUNKO 224)

長谷川慶太郎(著)

ワック
2015年9月4日 発売

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2015年9月発売。初版1万5000部。現在6刷6万部

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