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カープ期待の新外国人マット・デビッドソンを見ていると、あの豪快な助っ人を思い出す

文春野球コラム ペナントレース2023

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ランスのようなプレースタイル

 デビッドソンのプレースタイルは豪快なスイングから放たれる長打が魅力で、欠点は三振が多く、四球を選ばないため出塁率が低い……。おいおいお~い、これは懐かしい助っ人選手を思い出すじゃないですか。その名は、調べ直してみて、今更初めて知ったリック・ランセロッティ。1987年からカープに2年間在籍した、ランス。

 絵に描いたようなアッパースイングで大振りしてたなあ。空振りしてヘルメット飛んでたなあ。豪快に三振するか、豪快にホームランを打つか。その2択しかないのは、魅力といえば魅力だったし、ファンからしてみれば、必要なのは割り切りの心だった。

 当時、友達とよくやっていたファミコンのファミスタ。ゲームのなかでは、カープは「カーズ」って球団名で、「きたへふ」と「つだ」が使えたなあ。「よしひこ」も足が速くて使えたなあ。「らんす」は実績に忠実に再現され、大きなホームランか三振だったなあ。

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 2023年のシーズンは、まだ始まったばかりだが、デビッドソンの打撃データは、ランスのデータと酷似して、既に表れているような気もするし、気のせいであって欲しい気もする。ちなみに、当時のランスの応援歌には、元おニャン子クラブ・生稲晃子の『麦わらでダンス』が使われていたらしい。ダンスとランスの洒落。

 デビッドソンの応援歌ってあるのだろうか? ネットで見る限り、誰かの曲を元にしたものは無いようだ。デビッドソンの打席時の応援の様子を見ると、「かっとばせ~デビッドソ~ン」の後に、続けざまに数回名前を繰り返すパターンの時に、どうしても「デビソ~ン」に聞こえてしまう。時代が違えば、「ダビソ~ン」に聞こえてしまっていたのだろう。

小学生みたいだった助っ人選手

 助っ人選手について書いていると、どうしてもカープの歴代の助っ人選手で印象に残っている選手をあげたくなる。

 1983年から2年間在籍したティム・アイルランド。背番号4、二塁手、半端なくキャラが立っていた。みんな長袖のアンダーシャツを着ているような寒い日でも、絶対半袖だし、そのうえ更に袖を捲って着てて、腕むき出し。小学生だった僕から見ても小学生みたいだった。ボテボテの内野ゴロを打って、一塁に全力疾走でヘッドスライディングしてたなあ。すごく好きな選手でした。

 今時のプロ野球では、怪我の怖れの多々あったアイルランドのプレースタイルはご法度でしょうが、今シーズンのカープのキャッチフレーズ「がががが が むしゃら」には、合ってるように思う。ちなみに、当時のアイルランドの応援歌には、石川優子とチャゲのコラボレーション・シングル『ふたりの愛ランド』が使われていたらしい。そうです。見事に洒落です。

 ベランダに出ると、広島市民球場の歓声が聞こえる実家で生まれ育ったわしは、物心つく前からカープファン。気づけば歳を重ね、今シーズンはコーチの3人以外、監督も選手も当たり前に年下。それでもやはり、カープの選手を応援する気持ちは変わらないし、助っ人選手には光る個性と活躍を期待する。

 今年はまだ愛を、いや足を運べてないカープの試合を観戦する日があると思いますが、デビッドソンの打席時にランスのことも思い出したり、ダビッドソンだったかもと思ったりすることでしょう。デビッドソンが調子をあげて、もっと気の利いた応援歌作るぞってなった際には、『麦わらでダンス』や『ふたりの愛ランド』のように洒落に基づく応援歌でよろしくです。デビッドソンだと洒落るには無理がありそうなので……。マットのほうを抜粋してよければ、田原俊彦の『ハッとして!Good』でお願いします。

 最後の締めにこのコラムでもデビッドソンに応援歌を歌っておきたい。

「かっとばせ~デビッドソン!! デビソ~ン!!」

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