借金問題も解決。今後の野望は?
――指導者としての立場には、どのような面白さがあるのでしょう?
いしだ 僕は19歳の時に出演した『毛皮のマリー』という作品が初舞台なのですが、この時に共演者の美輪明宏さんから何度も言われたのが、「マスコミ向けの芝居はダメよ」、「テレビみたいな芝居はやめなさい」ということでした。
たしかに舞台では、立ち方から声の出し方まですべてが独特で、照明の当たり具合を計算に入れながら、感情やセリフを表現しなければなりません。当時は大変でしたけど、この時に叩き込まれたスキルは一生物だったんだなと、今になって痛感しています。
こういう、30年のキャリアの中で得たものを、10分くらいに凝縮して若い世代に伝えていくのは、やはりやり甲斐がありますよ。
――一時期、借金問題が取り沙汰されましたが、収入面に問題はなさそうですか?
いしだ やっと収入も増えてきましたから、とりあえず返すものは返して、娘にもようやく少し良い物をプレゼントできるようになりました。以前はヒーコラ言いながらなけなしの仕送りをしていましたけど、いまは少し多めに送金しています(笑)。
――役者としての、現在の目標は?
いしだ 世界です。アジアはもちろん、60代になる頃にはヨーロッパの舞台に立っているのが理想的。その足がかりの1つとしていま、しばらく暮らしていた石川県と組んで、国際演劇祭のようなイベントを立ち上げようとしているんです。
これはフィルムフェスティバルの舞台版のようなもので、まず石川でこうしたイベントを確立して、ヨーロッパと文化交流を図ることができればと考えています。地域の皆さんと具体的に取り組みを進めているところなので、楽しみにしていてください!(#2に続く)
写真=三宅史郎/文藝春秋
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