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 鈴木氏の著書のなかで、とりわけ党から問題視されたのは次のくだりだったという。

〈決定的な誤りは、宮本(顕治)氏によって不破哲三氏と貴方・志位和夫氏の幹部会委員長・書記局長の後継指名が行われた事です。(略)このやり方は毛沢東が林彪や華国鋒を後任に指名したのと同じやり方ではないですか。およそ近代政党とは言い難い『個人独裁』的党運営です〉

“志位氏が志位氏をトップに推す”というレトリック

 共産党は「党内の民主的選挙で幹部を選んでいる」と強調しているが、鈴木氏は「あれは選挙と呼べる代物ではない」と斬って捨てる。

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「私が『個人独裁的運営』と呼ぶのは、志位体制の『続投ありき』の案が、『満場一致で決まる』という形式を繰り返しているからです。直近の2020年1月に開かれた党大会の記録によれば、役員選考委員会の責任者である浜野忠夫氏は大会最終日にこう報告しています。

『(前回の)第27回党大会期の常任幹部会の責任で、(第28回党大会期の)3役案を提案しました。1中総(=第1回中央委員会総会)ではこの提案を検討し、全員一致で3役を選出しました』

 党の専門用語だらけですが、『常任幹部会』は、日常的な最高指導部のことで、トップの委員長は志位氏。『3役』は、常任幹部会委員長、副委員長、書記局長のことで、やはりトップは志位氏。つまり、“志位氏が志位氏を次のトップに推す”というレトリックなのです。

 議決する側の中央委員会が『全員一致』ということからもお察しのように、中央委員の候補者名簿も指導部が作成したもの。党大会では正委員193人、准委員28人、計221人が一人も落ちることなく、きっちり選出されました」

立命館大学在学中の演説する鈴木元氏(鈴木氏提供)

中国共産党よりもひどい

 この仕組みは、日本共産党が「覇権主義」として批判している中国共産党以下だと鈴木氏は指摘する。

「お隣の中国共産党で習近平総書記が就任した2012年の党大会の記録によれば、定員205人の中央委員を選ぶのに、224人の名簿が提示されています。つまり、定員より多い名簿が事前に示されているのです。2300人の代議員が無記名秘密投票を行い、そこで19人が落選している。日本共産党のような、予定調和ではありません。この点で、日本共産党は中国共産党以下なのです」

――日本共産党の暗部を知りつくす鈴木元氏のインタビュー「志位和夫は習近平以下だ」は、5月10日発売の「文藝春秋」6月号に全10ページにわたって掲載されている。(「文藝春秋 電子版」では5月9日に公開)。

文藝春秋

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志位和夫は習近平以下だ