江越が彼らに負けていないのは「必死さ」だ
《強肩》《守備範囲》と《ガッツあふれるプレー》は十分見せているが、俊足は今ひとつ。
6回盗塁を試みて成功は2回。盗塁成功率.333は寂しいというよりもったいない。今年のファイターズは盗塁死と走塁死が多くて、選手の技術面・ベンチの作戦面、双方の問題でもあるのだけど、江越の俊足をどう活かすかは今後の課題だ。
今のところは、打率1割台の選手をスタメンで使わなければいけないほど、ファイターズの戦力はダウンしている。ケガで登録を外れている野手は清宮幸太郎、石井一成、淺間大基、今川、五十幡ら。状態が戻れば即、一軍に上げたい選手ばかりだ。新外国人のハンソンも獲得した。江越の一軍の座は安泰ではない。
江越が彼らに負けていないのは「必死さ」だ。学年は松本剛の一つ上。外国人を除く一軍の野手では中島卓也の次だ。あとがない。冷淡に言えば、骨折を我慢して出場したからといって打てない球が打てるようになるわけじゃない。スクイズを決めた西武戦の前、江越はベルーナドームの横のカーミニークで行われたイースタンリーグに先発、2打席で途中交代して一軍に合流している。いわゆる親子ゲームの連チャンだ。とにかくたくさん打席に立ってたくさんゲームに出て「ツボにハマれば」のツボを見つけたい。どこかに転がっているチャンスを拾うために足を止めずに駆けずり回っている感じだ。
必死さは仲間にも伝わる。ソフトバンクから移籍した《微笑みのストッパー》田中正義も必死だった。上川畑のサヨナラヒットで田中がプロ初勝利を挙げた時のチームの一体感。ああいう試合をするごとにチームは強くなる。今度は江越が仲間に祝福される姿を見たい。お立ち台に上がる江越大賀を。
追記
この原稿を入稿後の11日、ソフトバンク戦でついに移籍第1号が出ました。
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