2023年5月16日(火)イースタン・リーグ公式戦、埼玉西武vs東京ヤクルトの一戦で西武がサヨナラ勝ちした。この試合がSNSや新聞紙上で物凄く話題になった。
何故なら9回表終了時点で0-7と西武は完敗ムード。が、しかし、西武は9回裏に一挙10点取ってサヨナラ勝ちしたからだ。しかも、この回のアウトは送りバントの一つのみだった。
これは何と表現したら良いのか。
奇跡? 事件? 珍事?
今風に言うなら、“神試合”だろうか?
まずは試合を振り返っていこう。
両チームの先発投手は西武・本田圭佑、ヤクルト・山野太一。
この日の本田はヤクルト打線に初回からつかまり、3回4失点で降板。西武2番手の高卒2年目・黒田将矢も4回3失点で降板した。この後、西武投手陣は2投手の継投で、9回までに7点を失った。
一方、ヤクルトの山野は8回4安打無失点と完璧な投球内容で、2番手の大下佑馬にバトンを渡す。が、この大下が大乱調だった。
西口二軍監督の“逆転指令”
ここからは9回裏の西武の攻撃に携わった全選手のコメントと共に振り返りたい。
まずは、この時点での西武の打順のおさらい。
(1)西川愛也(2)蛭間拓哉(3)川越誠司(4)渡部健人(5)マーク・ペイトン(6)ブランドン(7)岸潤一郎(8)山野辺翔(9)野田海人
9回裏、7点を追いかける西武の攻撃が始まる。
【4番・渡部】初球をレフトスタンドへのホームランとし、1点を返した。
「打席に入る前、監督から『2回打席に立てよ』と言われて、軽い気持ちで『はい』と答えたのですが……。みんなで繋いですごかったですね。本当に2回立つとは(笑)。良かったです!」
西1-7ヤ (6点差)
【5番・ペイトン】無死走者なし。9球目をセンター前ヒットでランナー一塁。
「点差は関係なく、自分の打席を無駄にしないようにという気持ちで打席に入ったけど、追加点に繋がるヒットになって良かったよ」
【6番・ブランドン】無死一塁。3球目をレフト前ヒットでランナー一、二塁。
「負けていた場面だったので、とにかく後ろに繋ぐ気持ちで打席に入りました。三遊間が広く空いていたので、『抜けてくれ!』と思いながら一塁まで走りました」
【7番・岸】無死一、二塁。6球目をレフトスタンドへの3ランホームラン。
「流れを崩さないようにと思って打席に入りました。追い込まれたのでコンパクトなスイングをすることだけを考えていました」
西4-7ヤ (3点差)
【8番・山野辺】無死走者なし。2球目をレフト前ヒットでランナー一塁。
「走者一掃した後は、流れが途切れてしまいがちですが、自分が出塁したら面白い展開になるなと思っていました。相手投手とは対戦実績もありましたし、良いイメージで打席に立てました」
【9番・野田→代打・陽川尚将】無死一塁。7球目をレフト前ヒットでランナー一、三塁。
「実は、野田のところで代打で行くことはあらかじめ決まっていました。岸がホームランを打って、山野辺もヒットを打って、いい流れなので勝てるかもと思い始めましたね。ダブルプレーで流れを止めたら嫌だな~、と一瞬思いましたけど、自分もいい流れに乗ることができて良かったです」
6連打でいまだノーアウト! ライオンズ、まだまだチャンス。
ここでヤクルト池山隆寛二軍監督がたまらず投手交代を告げる。山野太一に代わって、久保拓眞が3番手でマウンドへ。