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進学は白紙、バイトは不法就労に
サーリャの父も住んでいた国の弾圧から逃れて日本で暮らしていた。そんなある日、父は入管から難民申請が不認定となったことを言い渡され、在留資格を失い仮放免となる。影響は家族にも及ぶ。
サーリャの進学は白紙となり進学のためにしていたバイトは「不法就労」となる。県境を越えた移動は制限されるので思いを寄せている人にも会いに行けない。同世代の日本人と変わらない普通の高校生活を送ってきたのに一気に暗転してしまう。生活費の工面もしなければならない。
学校の先生はサーリャに「頑張れ」と言うのだけど「もう頑張ってる……」とつぶやくしかない。いくら努力しても報われない現実があることに観客は気づく。
こうして作品としていろいろ描かれると入管問題が切に伝わってきた。
では現実はどうか。
先週末、入管難民法改正案が衆院法務委員会で、自民、公明、日本維新の会、国民民主の与野党4党の賛成で可決された。改正案は、不法滞在などで強制退去を命じられても本国送還を拒む人の長期収容の解消が狙い、だという。3回目の難民申請以降は「難民認定すべき相当の理由」を示さなければ送還する。
子どもの生活が「国会対策」に
《「法案をこのまま通すのは無辜(むこ)の人に死刑執行ボタンを押すこと」。入管難民法改正案を可決した衆院法務委員会の参考人質疑では専門家から、こんな警告もあったが、ほぼ原案通りの決定となった。支援団体からは「人々の命と権利が守れない」との声が上がっている。》(東京新聞4月29日)
今回の改正案では注目しなければいけない部分がたくさんあるが、先述した映画2本の内容からいうと「子どもの保護」もそうだ。