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在留資格がない「日本育ちの子ども」が直面する“報われない現実”とは…? 「日本の入管」問題を考える

2023/05/02
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 ニュースでわかったつもりでいたけど、映画などの作品でさらに知らされることがある。

 たとえば入管問題では『東京クルド』(日向史有監督)と『マイスモールランド』(川和田恵真監督)。前者はドキュメンタリー映画で、後者はドラマ。

『東京クルド』では幼い頃から日本で育ち、日本人より日本語が流ちょうなクルド人の青年2人が「仮放免」という立場だった。「仮放免」は在留資格のない外国人が、入管での「収容」を一時的に解かれた状態のことを指す。働くことは許されず、健康保険も適用されない。県境を越えた移動は制限される。そして入管にいつ収容されるかわからない。

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『東京クルド』(2018年公開)

懸命に生きようとする人への仕打ち

 次のシーンが忘れられない。

「仕事してなかったら、どうやって生きていけばいいの?」というクルド人青年に入管職員は答える。「それは、私たちはどうすることもできないよ。あなたたちで、どうにかして」。在留資格を求めると「帰ればいいんだよ。他の国行ってよ」と嘲笑交じりに言われる。彼らの両親は住んでいた国での迫害を逃れて日本にやってきた。帰れば命の危険がある。そもそも日本の難民認定率は他国に比べて異常に低い。1%もない。

 

『東京クルド』は5年以上にわたって取材された映画だというが、そこに映るのは「救いを求め懸命に生きようとする人びとに対するこの国の差別的な仕打ち」(パンフレット)であった。進学などさまざまな夢が絶たれていた。

 続いて『マイスモールランド』。クルド人の女子高生・サーリャを嵐莉菜さんが演じていた。