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「なんでその短期間だけしか(残業手当が)認められなかったのか、よく分からなかった。去年の分も一昨年の分も、何時に出勤して何時に帰ったかという記録は全て提出しています」

 労働問題に詳しい旬報法律事務所の佐々木亮弁護士が指摘する。

「残業代の未払いは罰則付きの違法行為、つまり犯罪です。また、賃金請求権の時効は3年なので、2020年4月1日以降に給料日が訪れる分の残業を証明できれば、支払いを受ける権利がある」

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 上野氏はこう続ける。

「私が退職する日にある教員から、『僕は先生のおっしゃった通り時間を管理していました。もし大学が不誠実な態度をとるなら裁判も視野に入れたい』と言われました。必要であれば私も教員たちのために証言しようと考えています」

大学側「業務ではなく⾃⾝の研究を⾏うための⾃⼰研鑽の時間」

 大学と附属中に取材を申し込んだところ、9日に大学から次のような回答があった。

「(残業代の支払いは)労基署からの是正勧告が昨年7⽉~9⽉分を⽀払うようにとのことであったため、従ったものです。労基署から是正勧告を受ける以前において、全員ではなく個⼈差はありましたが、午後8時~9時頃まで学校に残っていた者はおりました。ただ、このことは業務ではなく⾃⾝の研究を⾏うための⾃⼰研鑽の時間として扱っておりました。勧告を受けた後は、在校時間のすべてを勤務の扱いとし、時間外労働⼿当を完全に⽀払っております」

兵庫教育大学

 教員のブラック労働が問題となるなか、2年3カ月分の未払い残業代について、大学側が今後、どのような対応をとるのか、注目される。

 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、教員たちの勤務の実態、上野前校長の”解任”事件、上野前校長が保護者に送ったメール、それに反論した大学側のメールなど兵庫教育大で何が起きているのかを詳報する。

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