今年3月8日に、12年間所属したAKB48を卒業した武藤十夢さん(28)。すでに情報番組のレギュラーコメンテーターや女優として活動しているが、その明るいキャラクターとは裏腹に、AKB時代を振り返って「とにかく何もできない自分が嫌だった」と語る。12年間のアイドル活動で直面した葛藤とどう戦ってきたのか(全2回の2回目/#1から続く)。

 

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忙しくても勉強は「漠然と、やんなきゃいけないって」

――AKB48に高校生で加入して、学業との両立は大変でしたか?

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武藤 すごく大変でした(笑)。学校行って、授業出て、学校終わったら直で仕事……っていうのが毎日。遊ぶこともできなかったけど、やりたいことだったのですごく苦だったという感じではなかったですね。まあ私も学校は行きたいと思っていたので、両立に関しては辛いというよりはやって当たり前なところがあったかもしれないです。

――芸能一本に絞るのではなく、自分で勉強しようと思ったのはなぜでしょうか?

武藤 私は中学受験だったんですけど、試験を受ける時に「ちゃんと大学まであるところがいい」って大学までの付属校を選んだというのもあったので、大学行かないなんてもったいないと思っていて。しかもたしか、お披露目公演の時に、将来の目標で「女優さんになる」っていうのと、「大学に行く」って宣言しているんですよ(笑)。今なら言わなきゃいいのにって思うんですけど、やっぱり自分の中では進学することが当たり前っていう感覚がありました。勉強は何でしたかったんだろう……。でも漠然と、やんなきゃいけないって、思っていました。

 

――結果的に大学院まで進学されて、周りの環境的にはマイノリティーですよね。モチベーションを保ち続けることが難しかったのでは?

武藤 それこそ「すごいね」って言ってもらえて「でしょ!」って言えるからやり通せたのかもしれないです。でもそれも明確な理由ではなくて……。小学校の時から習い事ばっかりで1日3つくらい掛け持ちとかもしていたので、そういう環境に慣れていたのかもしれないです。

 たださすがに大学院で修士論文を準備しているときは、ちょっと後悔しましたね。なんで私、大学院なんか進んじゃったんだろうって。もちろん結果的には、大学院進学は間違ってなかったなと思っています。

――具体的に何か勉強したいことがあったわけではないんですね。