武藤 はい、メディアにお話しするのは初めてですね。思い出すと、あの時の私は、今の自分をなんとかしなきゃ!の一心でした。とにかく現状から抜け出したくて仕方なくて……。AKBを辞めたいとかではなく、何もできない自分が嫌だったんです。だから何か掴みたいと。結果的に内定いただくことはなかったですけど、すごくいい経験になったなと思うんです。

 ファンの子とかに会った時に「今、就活でめっちゃキツくて……」って言われても「わかるよ、頑張ってね!!」って心の底から言えるわけですよ。メンバーで就活まで経験してる人っていないですしね(笑)。あと、気象予報士としてお天気を伝える場面で、アナウンススクールで習った原稿読みのスキルもすごく助かっていて。やっぱり挑戦して良かったなって思います。

 

アイドルの難しさ「こうすれば人気が出るっていう正解がない」

――12年間をアイドルとして過ごした武藤さんが思う、「アイドルという職業」の難しさは何だと思いますか?

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武藤 こうすれば人気が出るっていう正解がないことだと思います。もちろん人柄とかキャラクターは大事ですけど、必ずしも色んなことができる人が人気者じゃないですしね……。正解がない分、ファンの人が何を自分に期待しているのかっていうのを考えるのが大事だったのかなって、今は思いますね。そういう意味で言うと、自分は他のメンバーに比べて、低い位置からスタートして、性格的にコツコツコツコツできるタイプっていうのが良かったと思います。「ウサギと亀」なら亀派ですね。

――最後に、この先のビジョンを教えてください。

武藤 私は10代後半から20代にかけて自分の進路とか、自分の強みを探す上ですごく苦労したと思っています。だからこそ今度は、頑張る人を応援できる人になりたい。まだ具体的にどうしたらいいかというのは全然考えられていないんですが……。ジャンルを問わず、私自身、色んなことに挑戦しながら道を見つけられたらと思います。

 

撮影 佐藤亘/文藝春秋

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