前出の社会部記者が続ける。
「青木容疑者は4丁の散弾銃の所有許可を持っていました。許可や更新のときには医師の診断書が必要ですが、欠格事由になる精神疾患のような持病は認められなかったそうです」
別の社会部記者はこう話す。
殺したのは「ののしられた」から?
「青木容疑者は一連の事件を自らの犯行と認めています。動機については、サバイバルナイフで刺され亡くなった村上さんから『ののしられたと思い殺害した』という趣旨の供述をしているといいます。また、『駆けつけた警察官に撃たれると思って射殺した』などと話しているとのことです」
だが、青木容疑者を知る人たちは「事件を起こすような人には見えない」と口をそろえる。中学の同級生の目に青木容疑者はこんな風に映っていた。
「友達は多い方だったと思います。自分から積極的に話すタイプではありませんでしたけど、暗いってわけでもなかったです。独特の雰囲気があって、自分の世界を持ってたって感じ。よく勉強してましたし、成績もかなり良かった。彼女がいたって噂は聞いたことないですね。女っ気は全くなかったんじゃないかな」
中学校の卒業文集には「自分が思う事」という題の作文を寄せ、
〈この世の中で最も大切なのは「命」だと思います。では二番目は何かと問われたら私は間違いなく「金」と答えるでしょう。なぜなら、貨幣経済(貨幣をなかだちとして生産物の交換が行われる経済。)において金の無い者は生きていけないからであります〉
〈よく聞く綺麗事に「心にゆとりを持ちなさい。」というのがあります。それは金持ちの言う言葉であって、金の無い者や、職業に就けない者が心にゆとりなど持てる訳がないと思われます〉
〈自分は幼い時分より飛ぶ物に非常に興味があった。故に幼稚園の年中の頃より、様々な戦争映画や、洋画ばかりビデオを借りてきて見ていた〉
などと綴っている。
子供の頃は「水泳」と「野球」
中学時代、青木容疑者は野球部に所属していたという。当時の様子を部活動の仲間が振り返る。
「政憲のポジションはキャッチャーでした。レギュラーで試合に出てた時期もありましたが、3年生になってレギュラー落ちしてから練習に来なくなってしまったんです。同じポジションにはもう1人うまいやつがいて、しのぎを削ってたんです。もしかしたらプライドが高く、悔しくて部活に来なくなったのかもしれません。キャッチャーに大事なのは肩力と声出しだったり、コミュニケーションなんですが、政憲は練習でも声を出す方じゃなかったから……」
青木容疑者の母親は野球に打ち込む長男を熱心に応援していた。小さな練習試合にもほとんど顔を見せていたという。青木容疑者が小学生の頃に通っていたスイミングスクールで働いていた女性は次のように話す。
「とても達筆な字でスイミングキャップに青木くんのフルネームを漢字で書いてらっしゃって、ご両親は本当にちゃんとした方たちだったという印象が強いです。特にお母さまは教育に熱心だったと思いますよ。青木くんは高校も東京大学合格者が毎年1人出るか出ないくらいかのいいところに入って、親元を離れて東京にある大学の農学科に行ったんです」