“身内”で情報交換し合う通称・「ヤクザLINE」とは
「ヤクザの関与が疑われる事件についての情報を共有するのが、随分前からの慣例になっているんです。おもにLINEでつながっている仲間内でやり取りするため、『ヤクザLINE』なんて呼んでいますね。
ヤクザが絡んでいる可能性があれば、全国各地どの事件についても情報が共有されます。事件のあらましのほか、背景や見立てが流されるほか、関連する動画や画像も共有されるんです。町田の事件の動画もこの『ヤクザLINE』で一斉に共有されました」(暴力団事情に詳しいジャーナリスト)
「ヤクザLINE」の“情報源”は多岐にわたる。TwitterなどのSNSに投稿された出所不明の情報をソースにすることもあるため、情報の真贋の見極めが難しいという側面もある。一方で、暴力団とその周辺者、いわゆる「身内」の間での情報共有を目的とする点から、警察内部でも知られていない内部情報が出回ることもある。
LINEで回る犯人情報「FXトラブル」「余命宣告されていた」
「今回の町田の事件でも、自ら出頭した佐々木容疑者と被害者の名前がいち早く出回った。佐々木容疑者が『FXでカネを集めていた』といった話や、被害者の組員が『投資をしていたが配当もなく詰め寄ったところの事件』などの背景事情も共有された。
さらには、佐々木容疑者が『ガンで余命宣告されていたらしい』との話も拡散されている。いずれも、警察発表がないために真偽は不明ではあるものの、関係者しか知り得ない内部情報であることは間違いありません」(同前)
町田の事件では、被害者が、神戸山口組(本部・神戸市、井上邦雄組長)、池田組(本部・岡山市、池田孝志組長)と抗争状態にあるとして公安委員会から特定抗争指定暴力団に指定されている六代目山口組(本部・神戸市、司忍組長)の傘下団体の幹部だったことから、「抗争事件ではないか」との憶測も上がった。
しかし、そうした見立ては、「ヤクザLINE」でも早くから否定され、容疑者の逮捕直後に警察当局も「個人間のトラブル」と発表したことから暴力の連鎖が広がる懸念は早々と消失することとなった。そもそもこのネットワークはいつ、どのような目的で生成されたものなのか。