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《町田“銃撃”暴力団員死亡》事件が“抗争の火種”へと発展するのを防いだ“ヤクザLINE”とは…「血だまりに倒れた男の、はだけた胸には入れ墨が」

《町田“銃撃”暴力団員死亡》事件が“抗争の火種”へと発展するのを防いだ“ヤクザLINE”とは…「血だまりに倒れた男の、はだけた胸には入れ墨が」

2023/05/29

genre : ニュース, 社会

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 駅の構内だろうか。タイルが格子状に敷き詰められた床に男性が横たわっている。

 周囲には、制服姿の警察官が2人。仰向けに倒れ、宙を見上げる男性に何やら呼びかけているようだが、反応はない。男性は胸のあたりには刺青らしきものが見える。男性の回りにできた血だまりから、男性は危険な状態にあるようだ。映像はさらにズームインし、映し出されたのは、生気を失い、口を開けたまま動かなくなった男性の顔――。

 5月26日夜、出回った動画の中身である。

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発砲事件があった現場周辺 ©時事通信

 この日午後7時半ごろ、東京・町田市のJR町田駅のターミナルビルに銃声が響いた。現場は、ビル内にある喫茶店付近の路上。ここで50代とみられる男性が拳銃で撃たれ、約1時間半後に死亡が確認された。動画が出回ったのはこの事件の一報があった直後のことだった。

「町田で起きた発砲事件の様子を映した動画だとみられています。おそらく現場に居合わせた誰かがスマートフォンで撮影し、TwitterなどのSNSに投稿したのが拡散されたものでしょう。事件が多くの人が行き交う駅ビルの構内で発生したこともあり、現場の様子を映した写真や動画が複数出回る事態にもなっていました」(全国紙社会部記者)

 事件は、その日のうちに急展開を迎える。発生から約4時間後の26日午後11時半ごろ、拳銃を持った男が神奈川県内の警察署に出頭。警視庁が翌27日午前1時前に銃刀法違反の疑いで逮捕した。

 警視庁はその後、この男が神奈川県愛川町の職業不詳、佐々木誠容疑者(58)であり、町田の事件との関連を捜査していることを発表した。

SNSで拡散された動画の一部。倒れた男性の周りに警官らが集まっている

「町田の事件現場からは白い乗用車に乗った男2人組が逃走しています。現場では、『50代くらいで短髪、サングラス姿』の男が発砲する様子が目撃されていますが、この目撃者の証言と佐々木容疑者の外見が似ている。佐々木容疑者が自ら出頭している点からも事件との関連が強く疑われるため、警視庁が裏付けを進める方針です」(同前)

 警視庁は、事件の被害者が、「特定抗争指定暴力団山口組系幹部」であると発表し、報道各社が佐々木容疑者と被害者との間に、「個人的なトラブル」「金銭トラブル」があったとする捜査の見立てを相次いで報じたことから、事件の構図・背景は早々に明らかになった格好である。

 冒頭のような凄惨な動画が拡散した背景に、TwitterやInstagramなどのSNSの進展があるのは想像に難くない。実際、冒頭の動画や、同時に出回った別のアングルで現場の様子を映した動画が、現在もTwitterで確認できる。一方で、暴力団関係者ら「反社会的勢力」と目される面々やその周辺者の間で築かれた独特のネットワークが、情報の大量拡散の一端を担ったという側面もあるようだ。

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