2021年、当時18歳だったAさんが山梨県の小屋で殺害されているのが見つかった事件で、殺人の罪などに問われた小森章平被告(29)・妻の和美被告(30)の初公判が6月2日に開かれた。

 東京地裁での初公判でAさんの首をロープで絞め、背中をナイフで複数回突き刺したなどの起訴内容について、2人は「間違いありません」と認めている。

 真相解明の一助になることを願い、当時の記事を再公開する(初出2021年9月3日、肩書き、年齢等は当時のまま)。

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「これから2人で生きていきます。探さないでください。探したら容赦はしません」

 27歳の息子の部屋に残されていたのは、パソコンからプリントアウトされた小さな1枚の置き手紙だけだった——。

小森章平容疑者の四日市市にある実家 ©文藝春秋

 東京都内の高校3年生・Aさん(18)の遺体が山梨県早川町の小屋で発見された事件。警視庁は8月31日、群馬県渋川市に住む小森和美(28)、小森章平(27)両容疑者を死体遺棄の容疑で逮捕した。

 この事件が発覚する約1カ月前の7月22日未明。章平容疑者は生まれ育った三重県四日市市の実家との縁を切り、妻の和美容疑者を連れ、「夜逃げ」を決行していた。2人は和美容疑者が住む一軒家がある群馬県渋川市に向かった。

 章平容疑者の母親が、四日市市の実家で文春オンラインの取材に応じ、当時の様子を明かした。

小森和美容疑者 ©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

「もともと和美の家に物を処分しにいくと章平からは聞いていました。しかし、仕事の出勤日になっても章平は戻ってきませんでした」

“夜逃げ”の後、親族のもとには一度も章平容疑者から連絡は来ていない。「そもそもの始まりは今年の2月だった」と章平容疑者の母親は続ける。

「私が夜勤明けで家に帰ってきたら、普段、家でも無口な章平が『知り合いにDVに遭っている人がいるから、迎えに行く』と言うんです。私はよく事情が呑み込めないまま、章平はうちの車で突然出かけていきました。その翌日、章平が連れてきたのが和美でした。和美はどうも住んでいた群馬にはいられなくなった“事情”があるようだったので、章平が言うなら受け入れるしかないかと思い、彼女も我が家に一緒に住むことになったんです。