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「とりあえず籍を入れさせてほしい」と頼み込んできた

 2人が結婚の意思を持っていると聞いたのは、それから2カ月後のことでした。章平が私に『和美が自分が働いていた元バイト先で週2日働きたいと言ってるんだけど、彼女は身分を証明するものもないし、給料の振込先もない。とりあえず籍を入れさせてほしい』と頼み込んできたのです。本当に和美がその店で働いていたかは知りません」

サバイバルゲームが趣味だった章平容疑者(本人Facebookより)

 既に成人している息子のことでもあり、母親は籍を入れることを渋々認めたという。章平容疑者は母親の前で度々「和美の存在が支えになっている」と満足した様子で語っていたというが、徐々に母親との接触を避け、2人だけの世界に閉じこもるようになっていったという。

中学生の弟がいても、下着姿で平気で家の中をうろつきまわる

「和美はずっと家にいるだけで家事も一切手伝うことはありませんでした。いつもぼーっとしているんです。同居している章平の弟はまだ中学生なのに、下着姿で平気で家をうろつきまわる。外で洗濯物を干すときも下着に長めのカーディガンを羽織っただけでした。『誰が見ているかわからないんだから』と注意をしても、『へへ』と笑うのみでした。

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中学校時代の和美容疑者(卒業アルバムより)

 和美が住んでいた部屋には、空き缶やペットボトルも散乱していました。『仕事したら?』と言ってみたことがあるんですが、『絵を描いて売る仕事をしてるし、そんなにガツガツ働かなくてもいいのよ』とのらりくらりとかわされました」

前夫がネットゲームでつくった借金の督促状が何通も…

 母親が和美容疑者の異変に気付いたのは、奇妙な同居生活が始まって5カ月ほど後のことだった。

「『夜逃げ』の2週間前ぐらいでしょうか、急に渋川市から和美宛てに『子育て支援』の封書が届いて、疑問に思ったんです。章平に聞いたら、『実は和美には、前夫との間に1人子どもがいて、和美の実家に預けているらしい』と言っていました。でもそれも嘘でした。子どもは3人いたんです。章平も後からそのことを知って驚いたようでした。

 それまでにも弁護士名義で借金の催促状も何通も来ていて……。封書の中身は見ていませんが、和美は『借金は前夫がネットのゲームで課金して作った』と言ってました。章平は『2人で(借金を)返す』と言ってました。

小森和美容疑者(高校の卒業アルバムより)

 私が和美に『早く子どもを引き取って、借金を返しな』と言っても、自分の子どもに愛着がある様子もなくて、曖昧な返事ではぐらかすだけでした。『そういうことを言われるのは苦痛だ』って、ある時は言ってましたね。正直、2人で出ていく少し前には、こっちから『出て行ってほしい』と章平に相談しようかと思っていたところでした」

 7月22日、冒頭に記した置き手紙を部屋に残し、章平容疑者と和美容疑者は四日市市の実家を出て行った。退職代行のサービスを利用したようで、2人が去った後の7月25日朝、章平容疑者が勤めていた会社に「退職の通知」が届いたという。