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今、目の前にいたら刺してしまいたいくらい悔しい

「章平は、繁忙期には夜9時頃に帰ってくる日もあり、仕事は辛そうでした。精神的に追い込まれた時は食生活が乱れて何日も何も食べられない日があったり、夜眠れなくなったりしていました。

 あんな手紙を置いて、一旦は逃げ出しても、どうせすぐに生活に無理が生じ、頭を下げて帰ってくると思っていました。章平にとってこの家が、『最後の砦』のような場所であればいいと思っていましたが、そうはならなかった……。

小森章平容疑者 ©文藝春秋 撮影・宮崎慎之輔

 今、目の前に章平がいたら刺してしまいたいくらい悔しい。警察の取り調べに『一緒に犯行に及んだ』と言っているのがどうしても許せない。章平がAさんを庇って、遺体になって戻ってきたら、『よくやった』と言えたのに。どうして飛び込んで助けてやれなかったのか。

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 章平はコミュニケーションをとるのが苦手な子でした。高校では寮生活を経験し、先輩からいじめにあっていました。雨が降る中、外に布団を干されたと聞いたこともあります。母親目線ですが、優しい子だったと思います。

小森章平容疑者(本人Facebookより)

2021年7月に被害者と初めて会ったと供述

 高校3年生で中退してしまいましたが、中学時代までやっていた剣道部をやめて、高校でコンピューター部に入ってからは、水を得た魚のように、パソコンにはまっていきました。自分でパソコンを作れるぐらいにのめりこんでました。

『本当はパソコンの知識を生かした仕事に就きたかった』と本人から聞いたことがありますが、それは叶いませんでした。人付き合いは苦手でしたが唯一、SNSだけは自分でいられる場所だったのだと思うけど、なんであんなことをしてしまったのか。どうしても許せないです」

小森章平容疑者(中学校の卒業アルバムより)

 小森夫婦とAさん、遠く離れた地域に住む3人を結び付けたのはSNSだった。ようやく見つけた章平容疑者にとっての唯一の居場所が、惨事を生むきっかけになってしまった。

 章平容疑者は警察の取り調べに対し、「女子高生と会ったのはこれまでに1回で、2021年7月に妻が友人と会っている間に初めて会った」と供述しているという。

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