★消費増税のキーパーソン
財務省の茶谷次官と新川主計局長とのコンビは「まれに見る安定感」(次官経験者)とされ、財政規律への逆風が自民党内で吹き荒れても、茶谷次官の粘り腰によって省内を落ち着かせている。
2人とも若いころから次官候補と目されてきた。昨年末、防衛費の増税を決められなかったものの、具体案を議論する時期を1年後に素早く切り替えたのは鮮やかだった。
岸田政権が意気込む少子化対策でも財源が焦点で、消費税増税が茶谷、新川コンビの頭をよぎるのは当然のことだ。だが、これは「首相にとって最大のタブー。安倍派が絶対認めない」(自民党幹部)というのが、定説となっている。
そうはいっても毎年度の予算を数兆円規模で膨らませる大型政策の財源がいくつもあるわけではない。茶谷氏の側近は「次官が考えているのは10年後の予算と税制だ。消費税が最大の焦点であることは間違いない」と言い切る。
将来の消費増税に向けて、エース・宇波氏に加え、主計・主税局を経験している坂本基主計局次長(平成3年)の存在も見逃せない。菅義偉氏の政務秘書官だった同期の寺岡光博主計局次長と次官レースを競うが、消費税の議論を再起動させるキーパーソンであるのは間違いない。
消費増税に再びチャレンジする時に最も必要なのは、秘書官候補にも名前が挙がった吉野氏の決断力かもしれない。若手の頃から、相手が局長でも官房長でも、臆することなく主張をぶつけてきた。
いまは「死んだふり」だが、省内では「次の消費税政局はこれまでと同じ轍は踏まない」(主計局幹部)と、多種多様なプランが検討されている。
★混迷する次官人事
今夏の外務省の人事異動は他主要省庁から遅れて、8月にまでずれ込むと見られている。森健良事務次官(昭和58年)の後任人事が難航しているからだ。
次官レースで依然有力視されているのは山田重夫外務審議官(61年)だ。山田氏は、3月の岸田首相のウクライナ電撃訪問に続き、G7サミットにおいて、ウクライナのゼレンスキー大統領のサプライズ来日の仕切り役も担った。
一方で、ここにきて首相周辺で別の名前が急浮上している。
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