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「賠償額が数億円になる可能性も」ゴミの不法投棄、家屋の倒壊…松本明子(57)が聞いた「実家じまい」先送りの“重すぎるリスク”

『実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』より #1

2023/06/25
note

上田 シロアリは湿気を好むので、こまめに風を通して湿気を逃がすのがいいのですが、週1回程度ではあまり効果がありません。空き家の場合、毎日換気というわけにはいきませんから、現実的には防蟻(ぼうぎ)処理(薬剤などを撒く)をするのが一番の対策になります。ほかには換気設備の設置(換気扇や住宅設備としての除湿器など)となります。あとはシロアリの被害がないか、床下などをよく見て確認することです。

松本 決め手は換気と薬剤ということですね。

上田 そうです。あと空き家は人や物が動かないので、軒下、戸袋、庭木などにハチが巣を作ることがあります。戸袋に巣を作るのは雨戸の開閉がないからです。スズメバチが巣を作った場合は、危ないので駆除業者を頼んだほうがいいと思います。

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松本明子さんの実家の台所。誰も住んでいなかった時期は、近所の人が空気の入れ替えなどをしてくれていたそうだ(本人提供)

賠償額はかなり高額になるという覚悟が必要

松本 庭木は放っておくと枝が伸びるんですよね。

上田 庭木は放っておくと隣家に枝が伸びて枯葉や果実、種などを落としますし、強風で木が折れて隣家の屋根や外壁、車などを破損することもあります。樹高が3mを超えると実家や隣家の雨どいを落ち葉がふさぎ、雨漏りの原因になる恐れもあります。

 戸建ての主要構造部は木材ですから、湿気に弱く、雨漏りが発生すると老朽化が一気に進みます。台風、大雨、大雪などで建材が剥がれて飛散したり、最悪の場合は倒壊する恐れもある。近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。

松本 その場合の賠償額はどれくらいになるものなんですか。

 

上田 公益財団法人日本住宅総合センターの試算(空き家[放置家屋]事例「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」)によれば、人が亡くなったりすれば、数千万円から数億円に及ぶ可能性があります。小さいお子さんが犠牲になった場合などは将来得られたはずの収入(逸失利益)が考慮されるので賠償額はかなり高額になると覚悟したほうがいいです。

松本 空き家を放っておくと重い責任を背負い込むことになるんですね。

上田 そういうことなんです。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

「賠償額が数億円になる可能性も」ゴミの不法投棄、家屋の倒壊…松本明子(57)が聞いた「実家じまい」先送りの“重すぎるリスク”

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