両親から相続した実家を25年間も空き家状態にしたことで、総額1800万円もの維持管理費などを払うことになった、タレントの松本明子さん(57)。2022年6月には、その実家を売却するまでの顛末などを綴った著書『実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』(祥伝社)を上梓し、大きな反響を呼んだ。
ここでは、同書より一部を抜粋。松本さんが、NPO法人 空家・空地管理センター代表理事の上田真一氏と対談した内容を紹介する。(全4回の3回目/4回目に続く)
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実家じまいは先送りするほど維持費がかかる
上田 松本さんの高松のご実家は、売却されるまでに何年くらいかかったんですか。
松本 25年です。両親と同居してまもなく父が私に実家を継がせたいと言い出しまして。兄もそれでいいよと言ってくれたので、事実上私の家で、維持費を払ってきました。
上田 実家を娘のものにしてあとを託したわけですね。もともと実家をどうするかは、親が元気なうちに相続対策の一環として親子で考えておくのが一番いいのです。具体的にどうすればいいかは、あとで改めてお話ししますが、そもそもお父さんは、なぜ松本さんに実家を譲ろうと考えたんでしょう。
松本 芸能界は浮き沈みが激しいので、ダメになったら高松に帰ればいい、家さえあれば何とかなる、そう思ったみたいです。
上田 なるほど、松本さんの将来を考えてのことだったんですね。
松本 ただ、実家は高松で遠いですし、管理が大変でした。それでも父が丹精込めて作った小さなお城みたいなものでしたから、なかなか処分するわけにもいかなくて。
上田 実家じまいを先送りしてしまう理由はいろいろありますが、松本さんがそうであったように、一般に両親の思いが詰まった実家を処分することへの躊躇(ちゅうちょ)はその最たるものです。
あとは家財整理の面倒さや、相続した人たちの意見の不一致、都市部だと値上がりを期待してなかなか売れないという方もいらっしゃいます。地価が右肩上がりしたのは昔のことですが、いまだにそれが忘れられない方がいるのです。
でも実家の処分は、先送りすればするほど維持費がかかります。25年も所有されていたのであれば、松本さんもかなりの金額になったのではないですか。
松本 そうですね。光熱費に火災保険料に固定資産税でしょう、それから頻繁には帰れないので草刈りや庭木の手入れなどは高松のシルバー人材センターに頼んでやってもらったし、帰省の交通費もバカにならなくて。金額の大きいものではリフォームに約600万円かけているので、トータルでは1800万円ほどかかっています。