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「田舎へ行くほど土地の価値はゼロに近づく」松本明子(57)がプロに聞いた「空き家の実家」を売るために“最も必要なこと”

「田舎へ行くほど土地の価値はゼロに近づく」松本明子(57)がプロに聞いた「空き家の実家」を売るために“最も必要なこと”

『実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』より #2

2023/06/25
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 両親から相続した実家を25年間も空き家状態にしたことで、総額1800万円もの維持管理費などを払うことになった、タレントの松本明子さん(57)。2022年6月には、その実家を売却するまでの顛末などを綴った著書『実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』(祥伝社)を上梓し、大きな反響を呼んだ。

 ここでは、同書より一部を抜粋。松本さんが、NPO法人 空家・空地管理センター代表理事の上田真一氏と対談した内容を紹介する。(全4回の4回目/3回目から続く)

松本明子さん ©三宅史郎/文藝春秋

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田舎でも「即利用可」の空き家なら売れる

上田 松本さんの場合も相場より高く売れたんですよね。

松本 最初に地元の不動産屋さんに査定してもらったら200万円と言われたんです。維持費に1800万円かけたのに、いくらなんでも安すぎると思って、固定資産税や光熱費などはともかく、せめてリフォーム代くらいは元を取りたいと考えて、空き家バンクには売却600万円で登録しました。役所の担当の方には「なかなか売れませんよ。何年もかかると思います」と言われました。

上田 実は松本さんから実家じまいのご相談をいただいたとき、高松の地元に仲のいい不動産業者がいたので、地域の相場を聞いてみたのです。すると200万円とか300万円とか相場は一応あるけれど、とにかく売り物が多いのでなかなか流通しない。もし400万円で売りに出して「100万円で買いたい」という買い主が現われたら、「無条件でイエスと言ってください」と言われました。売り物50件に買い手1人の世界で、相場はあってないようなものだから、と。

松本 役所の担当の方は、そういう事情をよくわかっているから、何年も売れないと思いますよ、と言ったんでしょうね。

空き家バンクに登録して約600万円で売れた高松の実家(本人提供)

上田 松本さんのご実家の場合、地域で売り物が多かったことのほかに、もう1つネックになったのは駐車場です。公共交通手段の少ない地方では駐車場は必須です。凝った庭木や庭石より駐車場こそが何より大事で、最低2台分は必要になります。できれば3台分はほしい。夫婦で2台と来客用で1台です。

松本 うちは1台分しかありませんでした。

上田 そうなんです。地方は駐車場が2台分あるのが普通ですから、1台分しかないのは、かなりマイナス要素なんです。にもかかわらず、松本さんのご実家は空き家バンクに登録して、あまり時間がかからずに売れたんですよね。それも希望した価格で。

松本 そうなんです。3カ月くらいで買ってくださる方が見つかって。70代のご夫婦だったんですけど、こちらの希望する登録した値段でいいですよ、ということでした。