松本 私の場合はリフォーム代とほぼとんとんで売れました。
上田 相場を考えれば、よかったと思いますよ。松本さんのご実家のことは民放の番組でも取り上げられていましたから、その意味では高松の生んだスターのご実家というプレミアムもあったかもしれません。
松本 いえいえ、ご夫婦は購入を決めてくださるまで私の実家だとは、ご存じなかったようです。
上田 そうだったんですか。では、純粋に住まいとして気に入ってくださったんですね。
松本 ありがたいことです。
売るための努力を惜しんではいけない
上田 松本さんのケースは、売るための努力を惜しんではいけない、という空き家処分の鉄則を教えてくれていると思います。
松本 リフォームは、もともと自分が住もうと思って始めたことですから、すぐに住める空き家だったというのは、結果論みたいなところもあるんですけど。
上田 それでもリフォームをして、管理もきちんとされていたからこそ、「即利用可」の物件になったわけです。世の中、松本さんみたいな人ばかりではありません。たとえば空き家バンクにしても、申請して登録されたら、あとは役所が買い手や借り手を見つけてくれると思っている方がいらっしゃいます。
でも登録の際にひと手間かけるかどうかで、空き家物件の印象はだいぶ違ったものになります。役所の担当者は、空き家バンクに登録の申請があると、現地に足を運んで物件調査や写真撮影を行ないます。そのうえで写真とともに物件情報がホームページに掲載されるのですが、現地調査が8月の夏真っ盛りの時期だったりすれば、物件によっては草がぼうぼうに生えていたりします。
松本 あーっ、それは事前に草刈りや庭木などの手入れはやっておかないと。
上田 そうなんです。そんな草ぼうぼうの家なんて誰もほしいとは思いません。ですから空き家バンクに登録するなら、現地調査の前に草刈りや剪定をしたり、家の掃除もやっておいたり、と少しでも写真映えをよくする努力も大切なんです。
松本 私も現地調査の前に草刈りや掃除をしました。
上田 そういうひと手間を大事にするといいのではないでしょうか。