田舎でも「好立地」と「古民家」は売れる
松本 地方の田舎でも「即利用可」の物件なら売れるというお話をしていただきましたけど、ほかにも活用しやすい田舎の空き家というのはありますか。
上田 あります。「好立地」と「古民家」です。まず好立地ですが、具体的には観光地、もしくは観光地に近いところの物件なら、田舎であっても利用価値が出てきます。移住したり、別荘として使ったり、という人がいますから。高速道路のインターチェンジに近いような場所なら、土産物屋(みやげものや)さんのような店舗利用も可能かもしれません。ただし小売り事業となると、賃貸経営以上に大変ですから、お勧めはしません。
松本 なるほど。というと好立地の物件というのは、田舎でもかなり限られますね。
上田 そうですね。数ある空き家の中でもほんの一握りだと思います。
松本 古民家についてはどうですか。
上田 これも好立地が前提になります。古民家には明確な定義があるわけではないんですが、一般社団法人全国古民家再生協会では、昭和25年の建築基準法の制定時にすでに建てられていた「伝統的建造物の住宅」とすると定義しています。
伝統的建造物の住宅というのは、釘やボルトなどの金物を使わずに、木組みといって木材に切れ込みを入れ、木材と木材をはめ合わせて住宅を組み立てる日本古来の伝統構法で建てられた住宅を言います。活用できる古民家は、好立地であることに加えて、建物の規模が大きく、柱や梁も太く大きくて見栄えのするものに限られます。
10年以上前には古民家を移築して活用するのが流行しましたが、いまはほとんど聞きません。いずれにしろ田舎の空き家は、観光地に近かったり、古民家のように立地や物件そのものに飛び抜けて優れたものがあったりすれば、流通性に期待が持てますが、そうではない田舎の普通の古い空き家については、先ほどお話しした「即利用可」の物件をめざすことかなと思います。田舎の場合、「好立地」と「古民家」以外はなかなか厳しいのが現実です。
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